フクロタケ(読み)ふくろたけ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フクロタケ」の意味・わかりやすい解説

フクロタケ
ふくろたけ / 袋茸
[学] Volvariella volvacea (Fr.) Sing.

担子菌類、マツタケ目ウラベニガサ科の優れた食用キノコ。中国名を草菇(ツァオグー)、英名をパディ・ストロー・マッシュルームpaddy straw mushroom (straw mushroom)という。日本のシイタケ、欧米のマッシュルームとともに世界の三大栽培キノコの一つ。フクロタケの栽培は、中国南部、東南アジアでとくに盛んである。中華料理に用いられるのは幼菌である。幼菌は細長い卵形で、全体が厚い袋に包まれている。袋を破って出るキノコは高さ10~20センチメートルとなる。傘は径10~20センチメートルで、表面には放射状に並ぶ灰褐色の繊維紋が現れる。ひだは茎に離生し、初め白く、胞子が完熟するとくすんだ桃色となる。茎は白く、根元は大形のつぼで包まれる。胞子紋は肉色。胞子は楕円(だえん)形で7~9マイクロメートル×5~6マイクロメートル。秋、人家近くに捨てたごみや藁(わら)に発生する。分布は世界各地と広い。

 栽培は、稲藁サトウキビの絞りかすなどを積み上げ、これに種菌を植える。日本でも栽培はできるが、台湾や中国から缶詰を輸入している。

[今関六也]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「フクロタケ」の意味・わかりやすい解説

フクロタケ (袋茸)
paddy straw mushroom
Volvariella volvacea(Fr.)Sing.

担子菌類テングタケ科のキノコ。秋に有機質の多い場所に発生するが,東南アジアの諸国ではわらを堆積,発酵させた菌床をつかって栽培している。分布は熱帯地域のみ。かさは径7~13cmでまんじゅう形。表面は繊維状で灰褐色。内部は白く無味無臭である。ひだは隔生し肉色。茎は長さ5~12cm,径0.5~1.2cm。白色で絹糸状のつやがある。つぼは大型で膜質,胞子は卵形で7.5~9.5μm×5~6μm。中国料理に用いられ,スープ,煮物,いため物にして食べる。
執筆者:


出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

栄養・生化学辞典 「フクロタケ」の解説

フクロタケ

 [Volvariella esculenta].ハラタケ目ウラベニガサ科フクロタケ属の食用キノコ.径5〜10cmになる.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android