フクロウニ(読み)ふくろうに

改訂新版 世界大百科事典 「フクロウニ」の意味・わかりやすい解説

フクロウニ (袋海胆)

ウニ綱フクロウニ科Echinothuriidaeの棘皮(きよくひ)動物でフクロウニ属Asthenosomaの3種,または2~3の近縁属の種類の総称。ウニの殻を構成している殻板の結合が十分でないために殻全体が柔軟で,体を変形させることができる。殻板が非常に多く,間歩帯の縦列には35~60個の板が見られ,歩帯板の数はこの約2倍もある。殻径は一般に大きく,10~20cmになるが,高さは2~4cmと低い。4種類の管状のとげがある。一般に口の反対側には細い毒棘があり,口側には短く太い大棘が並んでいる。

 フクロウニ属の3種類の中のイイジマフクロウニAsthenosoma ijimaiは革袋状の毒ウニとして有名で,とげにふれると危険である。相模湾以南に分布し,水深20~100mに産する。ヤワフクロウニ属Araeosomaは世界で13種知られていて,オーストンフクロウニA.owstoniは相模湾以南の水深70~200mにふつうに産する。アカフクロウニ属Calveriosomaの殻は朱赤色で,アカフクロウニC.gracileは相模湾以南に分布する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「フクロウニ」の意味・わかりやすい解説

フクロウニ
ふくろうに / 袋海胆

棘皮(きょくひ)動物門ウニ綱フクロウニ目Echinothurioidaに属する海産動物の総称。原始的な特徴をもつウニの1グループで、硬い殻をもたず、上下に平たくて、いくらか変形可能な革袋状の殻をもつ。棘(とげ)は一般に短く、中空で折れやすい。また、棘に毒腺(どくせん)をもつものもある。深海底の泥上に産するものが多い。イイジマフクロウニAsthenosoma ijimaiは、フクロウニ類としてはまれな、浅海の岩礁上に産する種で、殻径12センチメートル、高さ4センチメートルぐらいあり、白帯のある濃赤褐色の毒棘を体表一面にもつ。オーストンフクロウニAraeosoma owstoniは、直径15センチメートルの大形種。ヒメフクロウニHapalosoma gemmiferumは、直径5センチメートルの小形種で、いずれも相模(さがみ)湾から九州に至る水深100メートル前後の砂泥底に分布する。

[重井陸夫]


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