フォーク(読み)ふぉーく(英語表記)fork

翻訳|fork

精選版 日本国語大辞典 「フォーク」の意味・読み・例文・類語

フォーク

〘名〙 (folk)
① 民俗。民間。国民。庶民。他の語と結び付いて用いられることが多い。
② 「フォークソング」の略。
※鳩を撃つ(1970)〈五木寛之〉「フォーク歌手のぎこちない歌声」

フォーク

〘名〙 (fork)
① 洋食で食物を刺して口に運ぶ用具。肉用、魚用、デザート用などの別がある。肉さし。肉叉。
※栄力丸漂流記談(1856)一「『ボーク』拾七本 小さき熊手の如き物にて、肉をつきさし食ものなり」
② 熊手型の農具。

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デジタル大辞泉 「フォーク」の意味・読み・例文・類語

フォーク(Peter Michael Falk)

[1927~2011]米国の俳優。舞台俳優としてデビュー映画界に進出し、「ポケット一杯の幸福」「ベルリン・天使のうた」「カリフォルニア‐ドールズ」など、数多くの映画に出演した。1971年からシリーズ化されたテレビドラマ刑事コロンボ」では主役のコロンボ刑事を演じ、世界的な人気を集めた。

フォーク(fork)

《ホークとも》
洋食で、食べ物を刺したりすくったりして口に運ぶ用具。
1に似た形の農具。
フォークボール」の略。

フォーク(folk)

民俗。民間。民衆。
フォークソング」の略。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「フォーク」の意味・わかりやすい解説

フォーク
ふぉーく
fork

西洋料理で用いる道具。食物を突き刺して口に運んだり、切るときに食物を押さえるために、ナイフとともに食卓で使用する。ヨーロッパで食事にフォークを用いるようになったのは16~17世紀のことで、それまでは食事は手づかみが普通であった。フォークという名の道具は食事用ではなく、調理用で、鍋(なべ)の中から肉片を取り出したりするのに用いた。食卓に出された肉塊は、1人が代表してナイフで切り分け、個人個人は手でつまんで食べていた。個人用の食べる道具としてはナイフがまず用いられ、ついで16世紀後半にスプーンが普及した。フォークはさらに遅く、17世紀から18世紀にかけて各国で一般的に使用された。イタリアでは16世紀にすでにフォークが使用されていたが、イギリスに伝わったのは17世紀の初めである。イギリス人トーマス・コリアトが、イタリアからの土産(みやげ)として持ち帰った。しかし、当時のイギリスでは、フォークを使うことが喜劇に取り入れられる状態で、一般に普及するのは名誉革命(1688)以後である。フランスではさらに遅く、18世紀中ごろに一般化した。イギリスに伝わったころのフォークは、先が2本に分かれたもので、18世紀に3本になった形ができあがった。

 東アジアの箸(はし)文化圏とは違い、長く手で食べる習慣のあったヨーロッパでは、手を清潔にすることを配慮したマナーがある。食前に手を洗う習慣、フィンガーボウルナプキンの使用といったものはこれを示すものである。

河野友美

種類

フォークの種類は、食事用としての用途からミートフォーク(肉料理用)、フィッシュフォーク(魚料理用)、オイスターフォーク(カキ料理用)、デザートフォーク(またはサラダフォークともいう)、さらにフルーツフォーク、先の1本が幅広くなったケーキフォークなどがある。そのほか、料理のサービス用のサービスフォーク、肉切り用のカービングフォーク、調理用の大型のコックフォークなどがある。コックフォーク以外はナイフと対(つい)で使用するので、柄(え)の形や模様がそろえてある。ミートフォークはテーブルフォークともよび、一般の食事では、これだけでデザート以外のすべての料理を食べることが多い。

 材質は金属が一般的で、高級品では純銀製や洋銀に銀めっき製があり、よく普及しているのはステンレス製である。

[河野友美]

『宗任雅子著『箸とフォーク』(1988・三嶺書房)』『山内昶著『食具』(2000・法政大学出版局)』


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改訂新版 世界大百科事典 「フォーク」の意味・わかりやすい解説

フォーク
fork

ものを突き刺して運ぶための叉(プロング)のついた道具のことをいい,農具など大型のものもあるが,ここでは食卓用フォークについて述べる。古代から中世にかけてのヨーロッパでは,料理は指でつまんで食べたため,現在のようなナイフとフォークを組み合わせて使うことはほとんどなかった。ただし,調理の段階では鍋から肉を取り出すための長いフォークや,その肉を切り分ける際に用いる大型のものはあった。食卓用のものとして言及されたのは11世紀イタリアでの記録が最初で,実際には15世紀末ごろからイタリアで使われはじめ,16~17世紀に各地に伝わった。フランスにはカトリーヌ・ド・メディシスの持参品として移入され,イギリスには小説家T.コリアトがみやげとして持ち帰ったという。しかし一般庶民に普及するのはイギリスでは名誉革命(1688)以後,フランスではフランス革命(1789)以後のことである。初期には単純な2本プロングだったが,18世紀には4本プロングのものがつくられ,形態も洗練されていった。日本では江戸末期にオランダ人が使っていたものを〈ほるこ〉〈ほこ〉あるいは〈肉さし〉と呼んでいた。現在使われているフォークは肉・魚料理用のテーブルフォークとやや小型のデザートフォークに大別できるが,ほかに料理を取り分ける大型のカービングフォークがある。

 ナイフ,フォーク,スプーンなどを総称して英語でflatware,silverwareあるいはsilver(必ずしも銀製とは限らない)というが,knife and forkといえば食事のことを指す。一方,ナイフを使わずにすむ簡単な食事をfork supperなどと呼ぶ。しかしフランスでdéjeuner à la fourchette(フォークによる昼食)といえば,正午ごろに食べる肉料理,ワイン付きの食事を指し(ドイツ語Gabelfrühstückも同義),〈良いフォークを持つ〉といえば大食のことである。フォークは東アジアのはし(箸)に相当するものといえるが,第2次世界大戦後は東南アジアでもフォークとスプーンの組合せを用いることが多くなった。
ナイフ
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フォーク」の意味・わかりやすい解説

フォーク
Falk, Peter

[生]1927.9.16. ニューヨーク,ニューヨーク
[没]2011.6.23. カリフォルニア,ビバリーヒルズ
アメリカ合衆国の俳優。フルネーム Peter Michael Falk。テレビドラマ「刑事コロンボ」シリーズで,ぼさぼさ頭に葉巻をくわえ,よれよれのトレンチコート姿のロサンゼルス市警察殺人課のすご腕刑事コロンボ役で人気を博した。同シリーズは 1968~2003年に全 69話が制作され,エミー賞主演男優賞を 4回受賞した。1956年からオフ・ブロードウェーの舞台に立ち,1971年にブロードウェーでニール・サイモン作の戯曲『二番街の囚人』Prisoner of Second Avenueに出演した。映画『殺人会社』Murder Inc.(1960)と『ポケット一杯の幸福』Pocketful of Miracles(1961)でアカデミー賞助演男優賞の候補になり,『ハズバンズ』Husbands(1970),『こわれゆく女』A Woman Under the Influence (1974)などに主演,2004年にはアニメーション映画『シャーク・テイル』Shark Taleで声の出演をした。コメディ映画 "American Cowslip"(2009)が遺作となった。

フォーク
fork

洋食器の一種。多くは金属製で木製,合成樹脂製などもある。ルネサンス以前には,食事のサービス用にのみ使われていた。現在のように食べるために使われだしたのはスプーンやナイフよりも遅く,イタリアでは 16世紀までに一般化したが,イギリスでは 17世紀後半以降である。

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百科事典マイペディア 「フォーク」の意味・わかりやすい解説

フォーク

アメリカの俳優。ニューヨーク州生れ。ハミルトン・カレッジで政治学の修士号を取得。1950年代後半から映画やテレビドラマで活躍し,《刑事コロンボ》でアメリカテレビ界最高の栄誉とされるエミー賞主演男優賞を4回受賞した。1960年の映画《殺人会社》などでアカデミー賞助演男優賞に2回ノミネートされている。1968年から計25年にわたって放映された《刑事コロンボ》はライフワークであり,コロンボは古いレインコート姿の冴えないおじさん風の刑事として登場するが,鋭い推理力とその粘り強さで事件を解決し人気を博した。日本でも吹き替えで放映され,〈うちのかみさんがね〉というセリフは流行語となり,犯人を追いつめる際の〈あ,それからもう一つ〉というセリフも有名。

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食器・調理器具がわかる辞典 「フォーク」の解説

フォーク【fork】

洋食で、食物をナイフで切る際に押さえたり、巻いたり突き刺したりして口に運ぶ器具。用途別にミートフォーク、デザートフォークなどの種類がある。ステンレス製、銀製、木製、プラスチック製などがある。

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世界大百科事典(旧版)内のフォークの言及

【食事】より

… 銘々膳が普及し,すべての食物をあらかじめ盛り分けて,膳の上に並べて供するという食事における食物の配給制が徹底したことが,日本の伝統的食べかたの特徴であり,それにともなって家族においても,誰の使用する食器かが区別され,食器の個人専用化がいちじるしい。 ナイフ,フォーク,スプーンを使用して食事をする風習が,ヨーロッパで普及するのは18世紀以後のことである。古代から,肉を切り分けるためのテーブルナイフは存在したが,1本のナイフで切り分けたのちには手づかみで食べた。…

※「フォーク」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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