日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
フォークト(Woldemar Voigt)
ふぉーくと
Woldemar Voigt
(1850―1919)
ドイツの物理学者。ライプツィヒで生まれる。ケーニヒスベルク大学で岩塩の弾性係数の研究により学位を得たのち、1875年同大学教授、1883年にはゲッティンゲン大学の理論物理学の教授となった。ゼーマン効果や固体の電子論にも関与したが、なによりも結晶物理学の創設者として有名である。この過程で、のちにローレンツ変換とよばれるものの基礎を確立し、「テンソル」tensorの概念を確立した(1898)。レオロジーにおけるいわゆるフォークト粘弾性の概念の始祖(1890)でもある。ゲッティンゲンで死去した。
[中川鶴太郎]
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