日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
フォークト(Walther Vogt)
ふぉーくと
Walther Vogt
(1888―1941)
ドイツの動物発生学者。チューリヒ、ミュンヘン両大学の解剖学教授を歴任。それまで主流であった比較発生学を超えるものとして、W・ルーにより提唱された発生機構学(実験発生学)の考えによる研究を推し進めた。自ら考案した局所生体染色法を両生類胚(はい)に適用し、膨大な実験を基に、原腸陥入の際の細胞(群)の移動の様相を明らかにし、原腸陥入前の胚のどの位置の細胞が将来のどの器官になるかを示した原基図(予定運命図)を作製した。この研究は、シュペーマンらが形成体を発見することになる、胚の部分間での交換移植実験の基礎となった。現在でも、細胞分化の研究や形態形成を動的にとらえようとする研究などに多大な影響を与えている。
[竹内重夫]
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