フォルクスワーゲン[会社](読み)フォルクスワーゲン

百科事典マイペディア の解説

フォルクスワーゲン[会社]【フォルクスワーゲン】

ドイツを本拠地とするヨーロッパ最大級の自動車会社。略称VW傘下アウディ社,スペインのSeat S.A.社,チェコシュコダ社,英国のロールス・ロイス社を擁する。ヒトラーの国民車構想に基づき,フェルディナンド・ポルシェが1930年代初頭からフォルクスワーゲン(ドイツ語で国民車を意味する)の設計・試作を開始。カブトムシ型乗用車〈ビートル〉の原型となるKdFワーゲンの完成を機に1938年ドイツ国民車準備会社GEZUVORが発足。同年Volkswagenwerk GmbHに改称,本格生産に取り掛かるが第2次世界大戦により国民車計画は頓挫。代わりに工場ではKdFワーゲンをベースにした軍用車両を量産した。戦後,Wolfsburg Motorenwerkとしてビートルの生産を再開,爆発的な人気を呼んだ。1960年,政府の出資などにより,株式会社となり現社名に改称。1970年代以降〈パサート〉〈シロッコ〉〈ゴルフ〉などの新車種を次々投入した。ビートルは1977年国内生産を打ち切った。生産車の半数以上が海外で造られている。1998年ロールス・ロイス社を買収,2003年以降〈ロールス・ロイス〉の商標はドイツのBMW社が使用権を取得し,VWは同社のもう一つの高級車〈ベントレー〉の生産に特化した。2005年独高級車メーカーのポルシェが株式20%を取得,2009年1月にはポルシェの持ち株比率が50%を上回り事実上子会社化されたかのようにみえたが,2008年の金融危機下でポルシェの財務状況も急速に悪化,2009年6月逆にVWがポルシェに買収提案,ポルシェ側がこれを拒否するなど,世界同時不況で低迷する市場を背景に自動車産業の世界的な再編が進むなか,その動向が注目されたが,2009年10月フォルクスワーゲンがポルシェの株式の49.9%を取得した。2009年12月,スズキとの包括的提携を発表した。2011年12月期売上高1593億ユーロ。
→関連項目ウォルフスブルクジウジアーロ日産自動車[株]ビッカーズ[会社]

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