日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
フェルナンド(1世)(カスティーリャ王)
ふぇるなんど
Fernando Ⅰ
(1016?―1065)
カスティーリャ王(在位1035~65)。11世紀前半にキリスト教スペイン諸国をほぼ統一支配したナバラ王サンチョ3世の次男。母方の叔父であるカスティーリャ伯ガルシア2世が暗殺された結果、母を介してカスティーリャを継承し、父の死後その初代の王となった。まもなく領土紛争からタマロンの戦い(1037)で西のレオン王を破り、かつての宗主国レオンを併合して皇帝を称した。この後10年余りは国内の司法や行政などの改革に費やしたが、やがてふたたび領土問題から今度は兄である東のナバラ王ガルシア4世と争い、これをアタプエルカAtapuercaの戦い(1054)で討った。内外ともに威信を高めた彼は、次の矛先を後(こう)ウマイヤ朝の崩壊(1031)によって分裂と内戦に陥っていたアル・アンダルスに向け、ポルトガル中部のコインブラその他の町を占領した。晩年、当時の封建思想に従って領土を3人の息子に分割相続させたために、レオンとカスティーリャは彼の死後ふたたび二国に分かれた。
[小林一宏]
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