フウセイ(英語表記)Larimichthys crocea

改訂新版 世界大百科事典 「フウセイ」の意味・わかりやすい解説

フウセイ
Larimichthys crocea

スズキ目ニベ科の海産魚。東シナ海から南シナ海にかけて分布する。日本近海には少ないためか,これまで地方名は記録されていないようである。全長60cmに達する大型魚で,体はやや細長い。体色はやや灰色を帯びた黄金色で,口唇は紅色を帯びる。ニベ科の他種と同様,大きなうきぶくろをもち,これに約30対の盲管状突起が出ている。このうきぶくろとこれに付着する筋肉の働きで,音を発することができる。産卵期になると産卵場で大群を形成し,グーグーという大きな音を出すため,台湾では船底に耳をつけ,魚のいる場所をさがすことが報告されている。産卵期は4~7月で,直径約1.4mmの卵を産む。季節回遊をする。大陸棚上の砂泥地にすみ,小型の魚類,甲殻類などを食べる。おもに底引網で漁獲されるが,量は多くない。やや美味で練製品のほか空揚げなどにする。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フウセイ」の意味・わかりやすい解説

フウセイ
ふうせい
[学] Pseudosciaena crocea

硬骨魚綱スズキ目ニベ科に属する海水魚。フウセイの名は朝鮮語に由来する。中国では大黄魚と称される。東シナ海から黄海に分布。体はやや長く側扁(そくへん)。体色は灰白色で腹側は黄金色を帯びる。脊椎(せきつい)骨数は26個で、近縁種キグチ(脊椎骨数29個)と区別される。食性は肉食性で、オキアミなどの浮遊性甲殻類および小形魚類を捕食する。成長は速く、大きいものでは50センチメートルに達する。底引網で漁獲され、中国料理のほか、かまぼこ原料となる。

[谷口順彦]


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