シベリウス作曲の交響詩(作品26)。帝政ロシアの支配下にあったフィンランドで、愛国独立運動の一環として1899年に上演された民族史劇につけた音楽がその原型となっている。この劇音楽からおもな部分を編出し、翌1900年にまとめられたのが『フィンランディア』で、同年パリの万国博で初演された。侵略に苦しむ民衆が闘争を通じて勝利を手にするまでを描いたこの作品は、不穏当であるとして当時のロシア官憲がその演奏を禁止するほど国民の愛国心に強く訴えた。シベリウスの作品のなかでももっともポピュラーなもので、中間部に置かれた平和を象徴する賛歌は合唱曲としても広く親しまれている。
[三宅幸夫]
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