日本大百科全書(ニッポニカ) 「フィリッポス(5世)」の意味・わかりやすい解説
フィリッポス(5世)
ふぃりっぽす
Philippos V
(前238―前179)
ヘレニズム時代のアンティゴノス朝第6代マケドニア王(在位前221~前179)。イリリアに進出したためローマと対抗、第二次ポエニ戦争にはハンニバルにくみした(第一次マケドニア戦争、前215~前205)。シリア王アンティオコス3世とプトレマイオス朝エジプトの海外領分割を密約(前203/202)、小アジアを侵したのでローマとの間に第二次マケドニア戦争(前200~前197)を誘発し、敗れた。以後ローマ支持に転じたが、市民数拡大策や植民など精力的な経綸(けいりん)がローマの干渉を招いた。バルカン方面に勢力を策定中アンフィポリスで死去。信義にとらわれない梟雄(きょうゆう)で武勇に傑出していたが気質に平衡を欠き、ギリシアを犠牲にしてローマの東方征服に道を与えた。
[金澤良樹]