フィリップ[エディンバラ公](読み)フィリップ[エディンバラこう](英語表記)Philip, duke of Edinburgh

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

フィリップ[エディンバラ公]
フィリップ[エディンバラこう]
Philip, duke of Edinburgh

[生]1921.6.10. ギリシアケルキラ
[没]2021.4.9. イギリス,イングランド,ウィンザー
イギリス女王エリザベス2世在位 1952~2022)の夫(王配)。エディンバラ公爵,メリオネス伯爵,グリニッジ男爵。別名フィリップマウントバッテン。原名は「ギリシアおよびデンマーク王子フィリッポス」。父はギリシア王ゲオルギオス1世の第4王子アンドレアス(1882~1944),母は初代ミルフォードヘーブン侯爵ルイス・アレグザンダー・マウントバッテンとビクトリア女王の孫娘ビクトリア・フォン・ヘッセンダルムシュタットの長女アリス(ギリシア名アリキ。1885~1969)。
イギリスで育ち,スコットランド北東部エルギン近郊のゴードンストン校,およびデボン県ダートマスの海軍兵学校で学ぶ。1940年1月から第2次世界大戦終結までイギリス海軍に籍を置き,地中海戦域や太平洋戦域で戦った。1947年2月28日,ギリシアおよびデンマークの王位継承権を放棄してイギリスに帰化,母方の姓であるマウントバッテンを名のる。1947年11月20日,遠縁にあたるエリザベス王女と結婚。その前夜に敬称殿下」の使用が認められ,ガーター勲爵士,グリニッジ男爵,メリオネス伯爵,エディンバラ公爵の称号が与えられた。
1948年第一子チャールズ・フィリップ・アーサー・ジョージ(→チャールズ3世)が誕生し,1950年に長女アン・エリザベス・アリス・ルイーズが,1960年には二男アンドルー・アルバート・クリスチャン・エドワードが,1964年には三男エドワード・アンソニー・リチャード・ルイスが生まれた。1952年2月6日のエリザベスの女王即位までイギリス海軍のフリゲート艦『HMSマグパイ』の艦長を務め,それ以降は女王とともに公私をともにし,年平均 350の公的行事に出席した。
1957年女王からイギリス王配 Prince of the United Kingdomの称号を与えられ,1960年にはマウントバッテン姓が王族の姓ウィンザーと法的に統合され,子孫がマウントバッテン=ウィンザーの姓を使用することが許された。多くの時間を王族としての職務に費やし,さまざまな慈善活動にも取り組んだが,右派的な発言がときに公となり,昔ながらの因習的な上流階級のイメージを払拭したい王室を困惑させることもあった。
1981~96年世界自然保護基金 WWF総裁。また 600万人以上の若者を対象に,社会奉仕活動やリーダーシップ教育,体力向上推進のための国際賞の創設も行なった。90歳を迎えた 2011年には,イギリス海軍の最高名誉職である大提督 Lord High Admiralの称号を授けられた。2017年5月,同年 8月をもって公務から退くことが発表され,8月2日に最後の行事に出席した。2万2000回以上に及ぶ行事に単独で出席するなど,最も多忙な王族の一人であった。

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