フィッシュミール(英語表記)fish meal

翻訳|fish meal

精選版 日本国語大辞典 「フィッシュミール」の意味・読み・例文・類語

フィッシュ‐ミール

〘名〙 (fish meal) イワシなどの魚を乾燥して粉末にしたもの。田麩(でんぶ)家畜の補足飼料などに使われる。魚粉。

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デジタル大辞泉 「フィッシュミール」の意味・読み・例文・類語

フィッシュ‐ミール(fish meal)

魚粉。主に家畜の補足飼料とする。

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改訂新版 世界大百科事典 「フィッシュミール」の意味・わかりやすい解説

フィッシュミール
fish meal

魚を煮熟,圧搾,乾燥,粉砕などの工程で処理して得られる粉末状のもの。魚粉ともいう。主に家畜や養魚の飼料用であるが,精製したものはふりかけなど食品製造の材料にもなる。フィッシュミールの原料には魚から筋肉や内臓の一部など可食部を除いた頭,尾,内臓など不可食部が主に用いられるが,全魚体も使用される。不可食部原料の代表的なものは,北洋工船および沿岸工場の冷凍すり身製造にあてられたスケトウダラの残滓(ざんさい)である。このほか缶詰工場などの水産加工場や卸売市場から出る各種食用魚類の残滓も原料となる。また全魚体原料としてはイワシ,サバなどの多獲性魚類がかなりの量用いられている。

現在,世界で生産されているフィッシュミールの大部分は湿式法によっている。その工程は原料の秤量,切断などの前処理に続き,熱湯または水蒸気で直接煮熟し,ついで圧搾,乾燥の操作に粉砕,袋詰めなどの後処理が加わり,さらに圧搾液から油脂を分離する工程,液汁分を濃縮してフィッシュソリュブルを製造する工程があり,排水,排気の処理装置などが付属している場合が多い。これらの工程はアトラス式,ミーキン式,大野式などと呼ばれるプラントで連続的に自動化されている。

フィッシュミールは原料や加工法によっていろいろに分類されている。魚の不可食部原料だけから製造したものをスクラップミールscrap meal,全魚体を原料として製造工程の煮熟,圧搾で出る水溶性成分を回収して濃縮し圧搾粕に添加して乾燥したミールは,原料魚のすべての栄養成分を含むという意味でホールミールwhole mealと呼ばれる。またスケトウダラ,カレイなど白身魚を原料としたものをホワイトミールwhite meal,イワシ,サバなど赤身魚からのものをブラウンミールbrown mealと呼び,区別している。しかし,最近日本で製造されるフィッシュミールの場合は,北太平洋産のスケトウダラを主体とする北洋工船ミール,イワシ,サバなど回遊性多獲魚や水産加工場などの残滓を主原料として製造された沿岸ミールに,またペルー,チリ,南アフリカ共和国アンチョビーなどを原料として製造された輸入ミールに区別されることのほうが多い。品質も種類ごとに多少相違するが,粗タンパク質61~68%,粗脂肪4~12%,水分5~10%,粗灰分12~18%の一般組成のものが大半である。

 家畜や養魚用の飼料需要が増加しているため,配合飼料の主要原料としてのフィッシュミールは国内の年間生産量約30万tでは十分ではなく,約40万tを輸入している。主生産国はペルー,ノルウェーなど。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「フィッシュミール」の意味・わかりやすい解説

フィッシュミール
ふぃっしゅみーる
fish meal

魚体を蒸し煮、圧搾し、乾燥させて粉末としたもの。魚粉(ぎょふん)ともいう。フィッシュミールは、多獲性の小形魚類を肥料として利用するためにアメリカで始められた。1920年代の中ごろから急速に進歩し、肥料だけでなく飼料や食糧としても発展してきている。日本では、第二次世界大戦前はニシン、イワシ類が原料として使用されたが、戦後はイワシ類、サバ、サンマなどが主原料とされ、スケトウダラ、カレイ類なども使用されている。輸入フィッシュミールではアンチョビー、ニシン、ヨーロッパ産イワシ類のピルチャード、サバ、アジなどの多獲性赤身魚がおもな原料として使用されている。

 マダラ、スケトウダラ、カレイ類などの白身の魚からつくられた魚粉をホワイトミールといい、イワシ類、サンマ、サバのような赤身の魚を原料として製造されたものをブラウンミールという。フィッシュミールは、大部分が家畜用の配合飼料の原料として消費されており、養鶏や養魚用としても重要な製品である。

 食用魚粉としては、マダラ、スケトウダラ、タイ類などの白身の魚類の筋肉を煮熟し、繊維をほぐして乾燥させた「そぼろ」が古くからつくられ、煮熟イワシまたは焼乾イワシを粉末にしたものは調味料や「ふりかけ」の原料などに使われる。また、イワシ類、ニシンなどの魚肉を細断してアルコール混合液で処理し、水分、脂肪分などを除去した食用魚粉である魚肉タンパク質濃縮物(FPC:fish protein concentrate)もあり、これは白色で栄養価が高く、魚臭もないのが特徴といわれている。

[望月 篤]

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百科事典マイペディア 「フィッシュミール」の意味・わかりやすい解説

フィッシュミール

魚粉とも。生魚を煮熟,圧搾,乾燥し粉末としたもの。初めは肥料として製造されたが,現在ではおもに飼料とされ,一部はタンパク質源食料にも利用されている。ホワイトミールとブラウンミールに分かれ,前者はタラ,カレイのような白身魚を原料とし,後者はニシン,イワシのような赤身魚を原料とする。また,脂肪含有量の多少によって多脂ミールと少脂ミールとに区別。
→関連項目イワシ(鰯)飼料

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栄養・生化学辞典 「フィッシュミール」の解説

フィッシュミール

 魚粉,魚粕ともいう.魚を原料に調製した粉で魚体を蒸煮して乾燥したもの.多くの場合,脂肪をとって別に利用する.蒸煮したあと,搾って固形部分と液状部分を分離して製造することもある.前者の乾燥物を魚粉,後者の乾燥物をフィッシュソルブルという場合もある.後者を前者と混合して乾燥する場合もある.

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