日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
フィッシャー(Hans Fischer)
ふぃっしゃー
Hans Fischer
(1881―1945)
ドイツの有機化学者。ローザンヌ大学とマールブルク大学で化学と医学を学び、ミュンヘン大学で医学の学位を取得。E・フィッシャーの助手、ミュンヘンで生理学講師、インスブルック大学、ウィーン大学教授などを経て1921年よりミュンヘン工科大学有機化学教授。血液や胆汁の色素、葉緑素などの研究を行い、これらがピロール環を含むポルフィリンやその類縁物質であることを明らかにし、ピロール誘導体の研究をして、これを基礎に関連化合物を多く合成した。とくに1929年には血色素のヘミンの合成を完成してその構造を確定し、それによって1930年ノーベル化学賞を受賞。ほかに胆汁色素ビリルビンの合成、クロロフィル(葉緑素)の正しい構造式の提出などの業績がある。第二次世界大戦末期に自殺した。
[梶 雅範]
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