ファンオルレイ(英語表記)Barend(Bernart)van Orley

改訂新版 世界大百科事典 「ファンオルレイ」の意味・わかりやすい解説

ファン・オルレイ
Barend(Bernart)van Orley
生没年:1488ころ-1541

フランドル画家一説にはブリュッセル生れ。肖像画の才能により,宮廷画家として1518年以降,ネーデルラント総督,オーストリアのマルガレータらに仕える。27年異端審問所から異端の嫌疑を受けるが,その名声ゆえに,没年まで宮廷画家の地位を保持。イタリアに学んだホッサールトらとともにイタリア・ルネサンス様式をフランドルにもたらした。彼はその様式を,1521年にブリュッセルを訪れたデューラーから,またラファエロ版画タピスリーカルトン(下図)から吸収した。祭壇画も手がけ,また,彼とその工房が制作したタピスリーの下図は,ブリュッセル・タピスリーの評価を高めるのに一役買った。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のファンオルレイの言及

【フランドル美術】より

…しかし1508‐09年のローマ滞在中古典古代の作品を模写したJ.ホッサールトは,フランドルで古代神話の主題を古代彫刻風裸体像をもって描いた最初の画家となった。B.ファン・オルレイの作品に見るように数学的遠近法,短縮法,複雑な運動表現なども導入される。総じて,初期フランドル絵画の精緻で親密な様式の代りに,古代と盛期ルネサンス(ことにラファエロ,ミケランジェロ)の壮大な様式にならおうとする傾向が年を追って強まるが,この傾向の推進者たち(ロマニスト)の芸術は16世紀半ば以降,F.フローリスの作品が示すように生気を欠いた形式主義におちいりがちであった。…

※「ファンオルレイ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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