ピーターと狼(読み)ピーターとおおかみ(英語表記)Petya i volk

改訂新版 世界大百科事典 「ピーターと狼」の意味・わかりやすい解説

ピーターと狼 (ピーターとおおかみ)
Petya i volk

ソ連邦の作曲家プロコフィエフ自国の子どもたちのために作詞・作曲した音楽童話(作品67)。1936年作曲,同年5月モスクワの児童劇場初演された。小編成のオーケストラ語り手によって演奏される新古典主義的な作風の作品。ピーター,おじいさん,狩人,狼,猫,小鳥アヒルといった主人公たちが,それぞれ特定の楽器主題によって表され,朗読をはさんで物語が展開する。日本初演は48年4月,東宝交響楽団,朗読山本安英,指揮近衛秀麿によって東京で行われた。
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百科事典マイペディア 「ピーターと狼」の意味・わかりやすい解説

ピーターと狼【ピーターとおおかみ】

プロコフィエフ台本・作曲の朗読付き管弦楽曲。《Petya i volk》。子供の音楽教育用に作曲者自身の台本で書かれ,1936年モスクワで初演。朗読の言葉に合わせて,少年ピーター(ペーチャ)が狼を捕らえるまでを小編成のオーケストラが巧みに描写。ピーター(弦楽四重奏),おじいさん(ファゴット独奏),狼(3本のホルン)といったぐあいに,主人公たちは特定の楽器・主題によって表現される。教育用の管弦楽曲としては,ブリテンの《青少年のための管弦楽入門――パーセルの主題による変奏曲フーガ》(1945年)と並ぶ名作。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピーターと狼」の意味・わかりやすい解説

ピーターと狼
ぴーたーとおおかみ
Петя и Волк/Petya i Volk ロシア語
Peter and the Wolf 英語

プロコフィエフが1936年に作曲した朗読付き管弦楽曲(作品67)で、作者は「交響的物語」とよんでいる。青少年をオーケストラ音楽に親しませることを目的とした啓蒙(けいもう)的作品で、台本は作曲者自身による。勇敢な少年ピーターが機知を働かせて狼を生け捕りにするまでを描いたおとぎ話は語り手の朗読で語られ、小鳥はフルート、アヒルはオーボエ、猫はクラリネットなど、脇役(わきやく)を含めた各登場人物には、それぞれ固有の楽器と主題が与えられている。啓蒙的作品とはいえ、効果的な管弦楽法と主題構成の巧みさは初演当時から高く評価され、その後世界中で広く親しまれるに至った。36年モスクワの児童劇場で初演。日本初演は48年(昭和23)近衛秀麿(このえひでまろ)指揮の東宝(現東京)交響楽団であった。

[三宅幸夫]

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デジタル大辞泉プラス 「ピーターと狼」の解説

ピーターと狼

旧ソ連の作曲家セルゲイ・プロコフィエフの朗読付き管弦楽曲(1936)。子供向けの音楽教育を目的として作曲された。

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世界大百科事典(旧版)内のピーターと狼の言及

【プロコフィエフ】より

…また映画音楽《キージェ中尉》(1933。34年交響組曲に改編された),バレエ曲《ロミオとジュリエット》(1936),音楽童話《ピーターと狼》(1936)などがあるが,これらはすでにソビエト的なわかりやすい作品である。 36年ソ連でプロコフィエフを待ち受けていたのは,ショスタコービチのオペラに対する《プラウダ》の批判に象徴される厳しい文化政策であった。…

※「ピーターと狼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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