ピタゴラス・コンマ(読み)ぴたごらすこんま

世界大百科事典(旧版)内のピタゴラス・コンマの言及

【音律】より

…しかし,(3/2)n=(2/1)mという等式を満足させる整数のn,mは存在しないから,nの値をいくら大きくしても,つまり完全5度を何回重ねても,出発音と同名の音に到達することがない。たとえば,5度を12回重ねた音とオクターブを7回重ねた音は(3/2)12:(2/1)7=312:219=531441:524288となり,両音のあいだにはピタゴラス・コンマと呼ばれる微小な差(23.46セント)が生じる。つまり,5度音律においては5度圏が閉じた円環とならず,無限のらせんを形成することになる。…

【微分音】より

…古代ギリシア音階においても,アリストクセノスはエンハルモニコスenharmonikos(エンハーモニック),クロマティコスchrōmatikos,ディアトニコスdiatonikosという主要な三つのテトラコルドによって,旋律を体系づけているが,このうちエンハルモニコス型のテトラコルドは中に4分音を含んでいる。また音律論では,ピタゴラス・コンマが微分音となる。 微分音は,民族音楽において微妙な音程進行や,音の揺れとして多くみられるものであるが,その他の音楽においても表現上の意図からビブラートやポルタメントにおいて生じている。…

※「ピタゴラス・コンマ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」