ビート(音響学用語)(読み)びーと(英語表記)beat

翻訳|beat

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビート(音響学用語)」の意味・わかりやすい解説

ビート(音響学用語)
びーと
beat

音響学用語としては、わずかに異なる振動数の二音が同時に鳴ったときに聞こえる「うなり」をいう。すなわち、異なる振動波の相互干渉によって生まれる振幅の周期的変化である。ピアノの調律や箏(こと)の調弦のときには、とくにこのビートを除去するように細心の注意を払う。しかし実際の演奏では、ジャズピアノのクラスター奏法や、箏の合せ爪(づめ)(押し手により隣接する二弦を同音にして同時に弾く)でビート効果が聞かれる例もある。三味線琵琶(びわ)、ビーナサワリはビートの複合効果とみることができる。また、バリ島のペニョロクという音理念のように、対(つい)になった金属鍵盤(けんばん)楽器を厳密にずらして調律し、ゆらめくような効果を初めから意図する文化もある。

 拍と同義語としてのビートの場合、ジャズのダウンビート、アップビートや2(ツー)ビート(ラテンディキシー)、4(フォー)ビート(スウィング)、8(エイト)ビート(ロック)、16ビート(新しいポップス)のように次々とつくりだされるリズム枠に対して使われる。

山口 修]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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