ビンロウジ(読み)びんろうじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビンロウジ」の意味・わかりやすい解説

ビンロウジ
びんろうじ / 檳榔子
[学] Areca catechu L.

ヤシ科(APG分類:ヤシ科)アレカヤシ亜科アレカヤシ属のヤシ。ビンロウ、ビンロウジュともいう。マレーシア原産。アレカヤシ亜科はヤシの約半数を占める大群族で、リンネが命名したアレカヤシは本種のことである。幹は単一で直立し、高さ10~17メートル、径10~15センチメートルで、アレカヤシ属の特色である葉鞘(ようしょう)の環紋がある。葉は光沢のある鮮緑色の羽状葉で、長さ1~1.5メートル。小葉は縦じわが深く、幅は不ぞろいである。葉の先端は叉(さ)状となり、葉先は鋸歯(きょし)状で葉柄は短い。雌雄同株で単性花をつける。肉穂花序は白色で、長さ50~60センチメートル。果実は球、楕円(だえん)、細長形と多種があり、果色は黄、橙(だいだい)、紅、白色がある。

 材は建材ほか器具とする。庭園樹のほか鉢植えにし、栽培温度は5℃以上を要する。なお、本種の中国名である檳榔を、別属のヤシであるビロウにもあてるが、ビロウの中国名は蒲葵であり、しばしば混同される。

[佐竹利彦 2019年5月21日]

薬用

種子檳榔子と称し、多量のタンニンを含み、アルカロイドアレコリンなどを含有するので、条虫駆除、下痢、皮膚病頭痛などに用いる。原産地では未熟な種子と石灰チョウジを混ぜてキンマの葉に包み、口内清涼剤として噛(か)む習慣がある。

[長沢元夫 2019年5月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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