ビリエドリラダン

精選版 日本国語大辞典 「ビリエドリラダン」の意味・読み・例文・類語

ビリエ‐ド‐リラダン

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改訂新版 世界大百科事典 「ビリエドリラダン」の意味・わかりやすい解説

ビリエ・ド・リラダン
Jean-Marie-Mathias-Philippe-Auguste Villiers de l'Isle-Adam
生没年:1838-89

フランスの詩人,小説家。11世紀にさかのぼるブルターニュ名門の生れで,自身も伯爵であったが,父が財産を蕩尽したばかりか巨額の借財まで残したので,成年後は貧窮の生活を強いられた。20歳のときボードレールの知遇を得てエドガー・ポー美学を啓示され,つづいてワーグナーの音楽に熱中,また神秘論に親しんだ。

 これらの影響は物質主義的・実証主義的な近代市民社会と,良識の名を僭称するその厚顔さとに対する激烈な憎悪を彼のうちにはぐくんだ。こうして彼は,孤高の瞑想のうちに幻こそ現実と信じて壮麗な夢想に遊び,この世の現実を冷笑する。練り上げられた輝かしい文体による短編小説集《残酷物語Contes cruels》(1883),長編《未来のイブL'Ève future》(1886)などは,俗物を嘲弄し,芸術と霊的なるものの至高権を主張しつつ,この世に居場所のない流謫者の憂愁をのぞかせる作品だが,マラルメらごく少数の知己に高く評価されただけで,まったき窮乏のうちに死去した。
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世界大百科事典(旧版)内のビリエドリラダンの言及

【ロボット】より

…前出の《R.U.R.》のテーマはその延長線上にある。一風変わったところでは,ビリエ・ド・リラダンの《未来のイブ》(1886)が,機械美女アダリーを生んだエジソン(アメリカの発明王エジソンがそのモデル)の才能にことよせて科学技術の精華をひたすら詩的にうたいあげているのが興味深い。 20世紀に入って,科学技術の発展によりロボットの開発が現実的問題になりだす1940年代初頭には,I.アシモフが〈ロボット3原則〉を提示して,従来のロボットSFの抽象性と矛盾を払拭(ふつしよく)し,明快な論理をそこに据えた。…

※「ビリエドリラダン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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