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「ビッグバン(宇宙)」の意味・わかりやすい解説
ビッグバン(宇宙)【ビッグバン】
宇宙開闢(かいびゃく)に起こった大爆発。宇宙は今から150億年前に起こった大爆発によって生まれたとする宇宙起源説で,火の玉宇宙論ともいわれる。ビッグバン宇宙論は現在最も広く受け入れられている標準的膨張宇宙論である。 生まれたばかりの宇宙は高温高密度状態で,物質は空間的に一様で単調な素粒子からなっていた。それが急激に膨張し冷却する過程で熱核反応によって核融合が起こり,種々の原子核が作られた。熱核反応は宇宙誕生後数百秒で終わり,宇宙は主に陽子と電子からなる熱いプラズマ状態になった。約10万年後,宇宙の温度と密度は十分下がり,電子と陽子は結合(プラズマの再結合)して中性の水素原子を形成し,いろいろな原子ができた。中性化した物質は,相互に働く重力によって,初期に存在した密度のゆらぎはしだいに成長し,ついに銀河,銀河団,超銀河団といった巨大なスケールの宇宙の大局構造を作り,銀河中には恒星が生まれ,現在の宇宙の姿へ進化したと考えられる。 ビッグバン宇宙論は,1946年G.ガモフが提唱。当初は支持者が少なかったが,1964年,3Kという非常に低温な電波(宇宙背景放射)が宇宙を満たしている事実が発見され,これがビッグバン宇宙論と整合する初期宇宙の痕跡であることが明らかになった。さらに,理論的に予想される初期宇宙の元素合成量が観測事実とよく一致することが確認され,ビッグバン宇宙論は確立した。ビッグバン宇宙論には理論的に解決できない地平線問題,平たん性問題があるが,1981年A.H.グース,佐藤勝彦は,開闢時の宇宙は高温で極めて大きなエネルギーをもつ真空で,これが初期に相転移を起こし,何百桁(けた)もの急激な膨張を行ったというインフレーションモデルを提唱,学界から広く受け入れられている。
→関連項目宇宙線|宇宙論|ガモフ|日本版ビッグバン
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