精選版 日本国語大辞典 「ビタミン欠乏症」の意味・読み・例文・類語
ビタミンけつぼう‐しょう ‥ケツバフシャウ【ビタミン欠乏症】
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ビタミンは本来、体内では合成されず、つねに外界から補給されなければならない微量の有機化合物であり、おもに補酵素として働き、代謝を支配し、これが不足すると種々の疾患に陥る。この疾患がビタミン欠乏症である。現在までに発見されたビタミンは二十数種にも及ぶが、一般に食物摂取上の欠陥から欠乏症をおこすビタミンは、ビタミンA、D、B1、B2、Cとニコチン酸の六つだけである。パントテン酸、ビオチン、ビタミンB6、B12、Kおよび葉酸などは食物中に広く存在しており、自然発生的に欠乏症をおこすことは少ない。また、腸内細菌もいろいろなビタミンを産生し、ヒトはそれを腸管から吸収、利用している。しかし、食物中のビタミンは不足しておらず、体内にビタミンが十分にあっても、それがなんらかの原因でうまく利用できない場合にも欠乏症状が現れる。たとえば、肝疾患時や抗生物質使用時のビタミンB2欠乏症状、抗結核剤イソニアジド使用時のビタミンB6欠乏症状、腎(じん)不全時のビタミンD活性化障害によるビタミンD欠乏症状などがこの例である。これらのものを二次性ビタミン欠乏症とよんでいる。
おもなビタミン欠乏による病名をあげると、ビタミンB1欠乏症(脚気(かっけ)、ウェルニッケ脳症)、ビタミンB2欠乏症(リボフラビン欠乏症)、ニコチン酸欠乏症(ペラグラ)、ビタミンB6欠乏症(多発性神経炎)、葉酸欠乏症(巨赤芽球性貧血)、ビタミンB12欠乏症(悪性貧血)、ビタミンC欠乏症(壊血病)、ビタミンD欠乏症(くる病、骨軟化症)、ビタミンK欠乏症(臓器出血)、ビタミンA欠乏症(夜盲症、皮膚乾燥症、角膜軟化症)である。
[橋詰直孝]
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