ビアボーム(英語表記)Max Beerbohm

改訂新版 世界大百科事典 「ビアボーム」の意味・わかりやすい解説

ビアボーム
Max Beerbohm
生没年:1872-1956

イギリス随筆家小説家,風刺画家。オックスフォード大学在学中から《イェロー・ブック誌上に軽妙痛烈な戯文,風刺画を発表,早熟な才人としてジャーナリズムに迎えられた。1898年にはG.B.ショーのあとをうけて《サタデー・レビュー》紙の劇評を担当した。戯曲集《詩人一隅》(1904),《五十の戯画集》(1913),《ロセッティとその一派》(1922)などは,誇張によってかえって実像の裏にある本質を引き出す奇妙な味わいをかもし,独自の世界を形成した。またパロディ集として《クリスマスの花輪》(1912),エッセー集として《ビアボーム作品集》(1896),《ものさまざま》(1922)がある。小妖精のようにかれんな美女のために学府オックスフォード全体が翻弄されたあげく,思いを寄せた人々が落命するという喜劇的で,しかもいくぶん退廃的で残酷な小説《ズレーカ・ドブソン》(1911)は,E.ウォーやA.ハクスリーらの初期の作品に共通する要素をもつ。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビアボーム」の意味・わかりやすい解説

ビアボーム
Beerbohm, Sir Max

[生]1872.8.24. ロンドン
[没]1956.5.20. ラパロ
イギリスの随筆家,カリカチュアリスト。オックスフォード大学在学中から雑誌『イエロー・ブック』にエッセーを発表。 1898年 G.B.ショーのあとをうけて『サタデー・レビュー』誌の劇評を担当。エッセーや批評はいずれも機知に富み,世紀末のダンディズムを表わしている。『ロセッティとその一派』 Rossetti and His Circle (1922) などの戯画,同時代の文学者たちのパロディーが多数あり,オックスフォードを風刺した小説『ズレイカ・ドブソン』 Zuleika Dobson (1911) も有名。第2次世界大戦中を除いて,後半生はイタリアリビエラに住んだ。 1939年ナイトに叙せられた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビアボーム」の意味・わかりやすい解説

ビアボーム
びあぼーむ
Sir Max Beerbohm
(1872―1956)

イギリスの随筆家、小説家、劇評家。オックスフォード大学在学中から風刺漫画や軽妙な筆致文章頭角を現し、G・B・ショーの後任として『サタデー・レビュー』の劇評を担当。知友の文学的肖像という散文ジャンルを確立した奇才。パロディー集『ロセッティとその一統』(1922)、小説『ズーレイカ・ドブスン』(1911)などがある。

[土岐恒二]

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