ヒレアザミ(英語表記)Carduus crispus L.

改訂新版 世界大百科事典 「ヒレアザミ」の意味・わかりやすい解説

ヒレアザミ
Carduus crispus L.

茎に翼があるところからヒレアザミと名づけられているが,アザミCirsiumと違って,冠毛は羽毛状ではない。山麓や野原,川の堤防道端に生えるキク科越年草。茎は直立して,高さ1m内外,縦に2条の翼をつける。翼にもとげがある。葉は互生し,羽状に中~深裂して縁にはとげがある。葉の裏面は初め白いくも毛でおおわれている。花期は5~7月。枝の先に頭花をつける。小花はすべて同形で両性。花冠は紅紫色,まれに白色瘦果(そうか)は長楕円形で無毛。総苞は鐘形で,長さ2cm,幅1.7~2.7cm。外片はしだいに短く,中片とともに先が細いとげとなって反り返る。花床には剛毛を密生する。ユーラシア大陸に広く分布し,日本では本州九州に生育する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒレアザミ」の意味・わかりやすい解説

ヒレアザミ
ひれあざみ / 鰭薊
[学] Carduus crispus L.

キク科(APG分類:キク科)の越年草。茎は高さ約1メートル。葉はアザミ類に似て鋸歯(きょし)と刺(とげ)があり、茎に沿下して翼となる。翼は縁(へり)に鋸歯があり、先は刺になる。5~7月、アザミ類に似た頭花をつける。冠毛は多数でざらつくが、アザミ類と異なり、羽毛状ではない。堤防や路傍に生え、本州から九州、およびアジアからヨーロッパに広く分布する。名は、アザミに似ているが、茎に沿下した翼を鰭(ひれ)に見立てたもの。

小山博滋 2022年3月23日]

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