ヒラドツツジ(読み)ひらどつつじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒラドツツジ」の意味・わかりやすい解説

ヒラドツツジ
ひらどつつじ / 平戸躑躅
[学] Rhododendron × pulchrum Sweet

ツツジ科(APG分類:ツツジ科)の常緑低木。寺島良安(りょうあん)の『和漢三才図会』(1712年序)に平戸(ひらど)ツツジの名があり、リュウキュウツツジをその異名にしているが、最近ではリュウキュウツツジとは別にして、長崎県平戸島そのほかに栽培されてきたケラマツツジをおもな親とし、これにキシツツジ、リュウキュウツツジ、モチツツジなどの種類を交配した雑種で大輪系のものをヒラドツツジと総称している。株立ちとなり、高さ1~2メートル。キリシマツツジより小枝は太く、若木のころは成長が速く、樹形も大形になる。一般に葉は大きく、質が厚い。開花期は4月下旬~5月中旬で、花冠の大きいものが多く、花つきがよい。花色も変異に富み、白、桃、紅、赤、朱、紫色など多彩である。庭木として観賞する。公園や街路によく利用されるオオムラサキも、この一つである。

小林義雄 2021年5月21日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のヒラドツツジの言及

【ツツジ(躑躅)】より

…常緑性ツツジの園芸品種は日本で,落葉性ツツジの園芸品種はヨーロッパで育成されたものが多い。日本でつくられたツツジの園芸品種は,ケラマツツジからヒラドツツジ,サタツツジが,ヤマツツジからキリシマやクルメツツジなどが,マルバサツキからサツキの各園芸品種が育成されているように,日本固有の野生種を利用しての品種改良が行われてきた。一方,ヨーロッパでは中国産のタイワンヤマツツジからベルジアン・アザレア,日本産のレンゲツツジやアメリカ産のジャコウツツジ,カフカス産のキバナツツジからエクスバリー・アザレア,ゲーント・アザレアの各園芸品種が改良されているように,他の地域から導入されたツツジの野生種をもとに品種改良が行われている。…

※「ヒラドツツジ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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