ヒユ科(読み)ヒユか

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒユ科」の意味・わかりやすい解説

ヒユ科
ヒユか
Amaranthaceae

双子葉植物の一科。ほとんどが草本ないし低木で,世界中に分布する。サトウダイコン(砂糖大根)キヌアキノア)などは重要な食糧作物であり,また観賞用として栽培される種もある。
一年草または多年草で,塩分の多い土壌でよく育つ。葉は多肉質あるいは毛に覆われるかで,対生または互生する。茎や根,葉,花は多くの種で赤色を帯びるが,これはベタレインと呼ばれる色素が存在するためである。花は両性花または雌雄の別がある単性花で密生し,通常,花の下にはいくつかの包葉がみられる。葉の色がカラフルなモヨウビユやマルバヒユなどは観賞用として栽培され,サトウダイコンホウレンソウ(菠薐草),ときにアカザなどは食用に供される。また,ヒモゲイトウ(アマランサス)やキヌアなどの実は高蛋白の疑似穀物で,特にキヌアは 21世紀以降,健康食品として世界的に需要が高まっている。一方,イノコズチアオゲイトウなどのように雑草として扱われるものも少なくない。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒユ科」の意味・わかりやすい解説

ヒユ科
ひゆか
[学] Amaranthaceae

双子葉植物、離弁花類。草本が多いが、まれに低木もある。葉は互生または対生し、全縁。托葉(たくよう)はない。集散花序または穂状、円錐(えんすい)状の複合花序をつくる。花は小形で両性まれに単性。緑、白、淡紅色まれに黄色の風媒花である。花被(かひ)は4、5枚で膜質。雄しべは1~5本で花被に対生し、花糸の間に膜状の付属体がある。子房は上位。世界に65属900種あり、熱帯に多く分布する。日本にはイノコズチ属、イソフサギ属などが自生するほか、ヒユ属、ケイトウ属など帰化種も多い。

[小林純子 2021年2月17日]

 従前アカザ科とヒユ科に分けられていたが分子系統学的な研究で両者はまとめられAPG分類ではヒユ科とされている。世界に170属2300種あり、日本には帰化種も含めて13属22種がみられる。

[編集部 2021年2月17日]

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