ヒューリスティック探索(読み)ヒューリスティックたんさく(英語表記)heuristic search

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒューリスティック探索」の意味・わかりやすい解説

ヒューリスティック探索
ヒューリスティックたんさく
heuristic search

試行錯誤的な問題解決法(弱い方法)を用いた探索パズルゲームにみられる難問に対して,筋道を立てて手ぎわよく問題を解くためのアルゴリズム(強い方法)を見出すことができないときに用いられる。難問では,すべての可能な状態(→組合せ論)や部分問題(→分解原理)の数は組み合わせ的数と呼ばれる膨大な数になることが多く,知識を用いないでしらみつぶしに探索すると高速計算機でも手に負えない(→組合せ的爆発)。そこで,常に正しいとはかぎらないが,各状態や部分問題がどれくらい目標に近いかを定量的な尺度として算出するヒューリスティック関数(→ヒューリスティックス)を用いて探索を効率化する。与えられた問題を,可能な状態の集まりとそれらをつなぐ基本操作の集まりとして定式化して,現在状態を目標状態に導く基本操作の系列を探す状態空間探索や,問題を部分問題に分解しながら解を探索する問題分解法などが知られている。これによって,古典的な人工知能では,パズル,ゲーム,数式処理などで人間の熟達者に匹敵する能力を示すこともあったが,難しく複雑な問題に対してはヒューリスティック関数を手づくりで設計するのは困難になるという限界があった。

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