ヒマーヤ(読み)ひまーや

世界大百科事典(旧版)内のヒマーヤの言及

【イスラム】より

…むらには農民以外に,耕地の管理人や見回り人,大工,説教師なども存在したが,それらのうちとくに見回り役は遊牧民(ウルバーン)によって請け負われることがしばしばであった。一般に機動力と武力をもつ遊牧民は戦闘集団としての性格も備えていたから,彼らは契約によってむらの見回り役を務めるばかりでなく,政府に補助軍を提供したり,一定地域に保護権(ヒマーヤ)を行使して,旅人や巡礼への安全保障の見返りに保護料を徴収した。しかしこれらの遊牧民は,農村社会と共存し,国家体制に協力する反面,中央権力が弱まれば,ただちに農村やメッカ巡礼の略奪者に転ずる危険性も常に備えていたのである。…

【キャラバン】より

…キャラバンの組織と運営のうえで遊牧系の諸部族,とくにアラブの大征服以後,各地に分散移住したアラブ系遊牧民たちが重要な役割を果たした。キャラバンの安全運営には,通過する地域を支配領域とした地方勢力,とくに広い地域を牧畜・移動する遊牧系の諸部族との通行安全と保護のための契約関係(アマーンamānあるいはヒマーヤḥimāya)が成立していることが不可欠であった。また運輸のための役畜の貸与,道案内,水場の探知,停泊地の選定,人および積荷の保護・管理や情報提供などは遊牧民たちの職務であった。…

※「ヒマーヤ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」