日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒステリシス(物理)」の意味・わかりやすい解説
ヒステリシス(物理)
ひすてりしす
hysteresis
物理学において履歴現象一般をいうが、多くの場合、磁気ヒステリシスを単にヒステリシスという(ほかに誘電ヒステリシス、弾性ヒステリシスがある)。
ヒステリシスはギリシア語で「後からくるもの」を意味し、明治期日本に招かれた(1878~1883)イギリスの物理学者J・A・ユーイングが、強磁性体の磁気的特質の研究の結果発見し、命名した(1881)。現象そのものはドイツのE・G・ワールブルクも同じ年に発見していた。
磁気ヒステリシスは、物質の磁化はそれに作用するそのときの磁場の値だけによっては定まらず、その物質の過去の磁気的履歴にも依存することをいう。すなわち、強磁性体の磁場と磁化の関係にみられ、磁場の変化に対して磁化の変化の追随が遅れる現象である。
[宮原将平]
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