ヒガンザクラ(読み)ひがんざくら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒガンザクラ」の意味・わかりやすい解説

ヒガンザクラ
ひがんざくら / 彼岸桜
[学] Cerasus subhirtella (Miq.) Sokolov
Prunus subhirtella Miq.

バラ科(APG分類:バラ科)の落葉小高木。コヒガンザクラ、チモトヒガン、アケボノヒガンともいう。春の彼岸(ひがん)のころに開花するので彼岸桜といわれ、3~4月、葉に先だって径約2.5センチメートルの淡紅色花を開く。萼(がく)は下方がすこし膨らみ、柄とともに短毛がある。エドヒガンに似るが、花柱に毛はなく、葉は倒卵形である。まれに自生するが、中部地方以西の本州に多く植栽される。品種に、一重の花が初冬と春に咲くシキザクラ、八重咲きで同じように2回咲くジュウガツザクラがある。

小林義雄 2020年1月21日]


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百科事典マイペディア 「ヒガンザクラ」の意味・わかりやすい解説

ヒガンザクラ

本州〜九州,東アジアの山中に自生するバラ科の落葉高木。花期が早く,春の彼岸のころ咲くのでこの名がある。関東で多く見られるのでエドヒガン,アズマヒガンとも。樹皮が縦に裂け,葉は長楕円形で,側脈が多く,基部に1対の腺がある。花序は柄がなく散状に少数花をつけ,若枝,葉の下面とともに腺質の軟毛がある。花は径2cm内外,微紅色の5弁花で,萼筒は基部がふくれてつぼ形となる。八重咲の栽培品もあり,また枝垂(しだれ)品はシダレザクライトザクラとも)と呼ばれる。ヤマザクラその他のサクラと交雑しやすい。サクラ類中最も寿命が長い。したがって大木となり,山梨県武川村(現・北杜市)の山高神代桜,岐阜県根尾谷薄墨桜など天然記念物に指定されているものも多い。
→関連項目サクラ(桜)円山公園

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世界大百科事典(旧版)内のヒガンザクラの言及

【サクラ(桜)】より

…福島県三春町の三春滝桜(みはるたきざくら)は糸桜の巨木として古くから知られており,京都市の平安神宮,東京都の神代植物公園などにある八重紅枝垂(やえべにしだれ)は紅色,八重の美しい花が咲く。このエドヒガンとマメザクラの雑種のコヒガン(小彼岸)Psubhirtella Miq.はヒガンザクラ(彼岸桜)(イラスト)とも呼ばれ,長野県高遠町の城跡公園のものは有名である。 4月になると,全国各地に広く植栽されており,最も普通に花見の対象になっているソメイヨシノ(染井吉野)Pyedoensis Matsum.(イラスト)の花が咲いてくる。…

※「ヒガンザクラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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