パピーニ(英語表記)Giovanni Papini

精選版 日本国語大辞典 「パピーニ」の意味・読み・例文・類語

パピーニ

(Giovanni Papini ジョバンニ━) イタリア小説家評論家未来派の文学運動に参加、短編小説文学評論伝記の諸分野に活躍した。主著「キリスト伝」。(一八八一‐一九五六

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デジタル大辞泉 「パピーニ」の意味・読み・例文・類語

パピーニ(Giovanni Papini)

[1881~1956]イタリアの小説家・批評家未来派運動に参加。初め無神論者であったが、のちカトリックに回心した。小説「行きづまった男」、評伝「キリスト伝」など。

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改訂新版 世界大百科事典 「パピーニ」の意味・わかりやすい解説

パピーニ
Giovanni Papini
生没年:1881-1956

イタリアの作家。フィレンツェの質素なプチブルの家に生まれ,代表作の自伝的小説《終わった男》(1912)のなかにその環境の情景が描かれている。独学によって百科全書的な博識を身につけ,反権威主義的な思考態度を培う。プレッツォリーニを知り,その交友を通じてイデオローグ,評論家,文化の舵取りとしてのみずからの天稟に目覚めた。1903年,プレッツォリーニとともに《レオナルド》誌を創刊,また国粋主義者コッラディーニの雑誌《領土》編集長となる。06年,処女作《哲学者の黄昏》を刊行,カント,ヘーゲルら6人の哲学者を俎上に載せて酷評した。08年,プレッツォリーニの《ボーチェ》誌に全面協力。A.ソッフィチと創刊した前衛雑誌《ラチェルバ》(1913-15)を介してマリネッティらの未来派に接近,〈破壊〉を信条とするこの体験の延長上に,官製の文化,古典作品に対する偶像破壊的な試み《酷評》(1916)が生まれた。しかし,21年刊行の《キリストの物語》によってカトリシズムへの帰依,広義には〈秩序への回帰〉を表明。その後ファシズムに全面的に身を寄せ,かつてみずからが毒舌を浴びせたアカデミー会員になった。ファシズム支配下に発表したおびただしい数の著作には歴史審判に耐えうるものはほとんどない。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「パピーニ」の意味・わかりやすい解説

パピーニ
ぱぴーに
Giovanni Papini
(1881―1956)

イタリアの作家、評論家、詩人、編集者。『レオナルド』誌を創刊(1903)。国家主義的刊行物『王国』の編集長。『声』誌の寄稿者。前衛誌『ラチェルバ』を創刊(1913)し、未来派を擁護したが、のちこの運動から脱退する。若いころは戦闘的無神論者で、第一次世界大戦後、カトリック教への回心を表明する(『キリストの生涯』1921)。物語、詩のほか、哲学、歴史、宗教など広い分野にわたる著作活動をきわめて野心的に行った。また逆説と風刺と情熱に満ちた論争家の一面もある。『哲学者たちのたそがれ』(1906)では19世紀の主要思想家を不確実性のゆえに批判し、『失敗者』(1912)ではあまりに多くの事を企てて失敗した自己の経歴を語り、『生けるダンテ』(1933)ではきわめて人間的なダンテ像を描く。ファシズム時代にはその政策にくみした。

[佐藤三夫]

『宮崎信彦訳『生けるダンテ』(1949・日本書院)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パピーニ」の意味・わかりやすい解説

パピーニ
Papini, Giovanni

[生]1881.1.9. フィレンツェ
[没]1956.7.8. フィレンツェ
イタリアの小説家,批評家。雑誌『レオナルド』 Il Leonardoを創刊 (1903) し,イタリア思想界を支配していた実証主義の打破に努め,『斜陽の哲学者』 Crepuscolo dei filosofi (06) などを発表。さらに『ラチェルバ』 Lacerba誌を創刊 (13) して未来派に接近,伝統文化打倒の急先鋒に立ったが,第1次世界大戦後の混乱と荒廃を経て,カトリックに改宗した。主著『行きづまった男』 Un uomo finito (12) ,『キリスト伝』 Storia di Cristo (21) 。

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百科事典マイペディア 「パピーニ」の意味・わかりやすい解説

パピーニ

イタリアの作家,詩人。数種の雑誌を主宰して,20世紀前半の文化・文芸革新に貢献。独学で知的形成を行った思想家で,未来派を経てカトリックに改宗,代表作のひとつ《キリストの物語》を書いた。ほかに自己の思想遍歴を語った《破滅した男》《生けるダンテ》など。

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