知恵蔵 「パトリック・モディアノ」の解説
パトリック・モディアノ
ナチス・ドイツの占領下にあったパリで出会ったユダヤ系イタリア人の父と、ベルギー人の母の間に生まれる。ソルボンヌ大学を中退後、創作活動に専念し、1968年に『エトワール広場』で文壇デビュー。父や自己のアイデンティティーの模索という奥深いテーマを簡潔明瞭な文章によって表現する作風が高い評価を受け、72年に『パリ環状通り』でアカデミー・フランセーズ大賞を受賞したほか、78年には『暗いブティック通り』で、フランスで最も権威のある文学賞の一つであるゴンクール賞を受賞。74年には『ルシアンの青春』がルイ・マル監督により、94年には『悲しみのビラ』がパトリス・ルコント監督により『イヴォンヌの香り』というタイトルで、映画化された。
小説のバックボーンとなるのはユダヤ人の問題で、モディアノ自身、ユダヤ系作家を掲げている。翻訳された作品も多い。
(城島充 フリーライター/2014年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報