バーバリー(読み)ばーばりー(英語表記)BURBERRY

精選版 日本国語大辞典 「バーバリー」の意味・読み・例文・類語

バーバリー

(Burberry) イギリスの服飾メーカーの名。また、同社の商品の商標名。
[補注]「モダン辞典(1930)」の「バーバリー(装)レーンコートの型の一種」、「浮世酒場(1936)〈獅子文六〉六」の「ズブ濡れのバーバリイの襟を立ててO君が這入ってきました」、「若い人(1933‐37)〈石坂洋次郎〉上・一五」の「男はバーバリのポケットから間崎達の謄写刷の日程表をとり出してひろげた」などにみられる「バーバリー」は、その時期に流行した防水加工した綿ギャバジンで作ったレインコートのことを、バーバリー社製以外のものも含めて称した可能性がある。

バーバリー

(Barbary) アフリカ大陸北西部の地方名。モロッコからアルジェリアチュニジアを経てリビア西部までの海岸部をいう。

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デジタル大辞泉 「バーバリー」の意味・読み・例文・類語

バーバリー(Burberry)

英国の服飾メーカーの名。また、同社が用いる商標。

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知恵蔵 「バーバリー」の解説

バーバリー

イギリスのファッションブランドの一つ。1856年にトーマス・バーバリーがイングランド南部の町で創業し、後にロンドンに本店を移した。ギャバジンと称する目の詰んだ綾(あや)織りの生地を特徴とするトレンチコートで有名。その裏地に使われたキャメル地に黒・白・赤のラインが交わるタータンチェック(格子柄)がトレードマークとなっている。
バーバリーといえばトレンチコートが有名だが、このトレンチコートは、元々はその名の通りぬかるんだ塹壕(ざんごう)での戦闘に適するように、防水性や耐候性を重視して作られた軍用の外套(がいとう)である。第1次世界大戦で英国軍が採用して、実用性や機能性が注目され民間に広まった。それまでの英国紳士服の主流であったテーラーメードとは異なり、量産に適した既製服であったことや産業革命で成熟した英国の織物工業を支えに、中産階級など一般市民にも広く普及した。
その後、広く民間に広まったトレンチコート以外にも婦人服やファッション小物、若者向けなど幅広い商品をそろえ、ほぼ同時期にできたアクアスキュータムや後発のDAKS(ダックス)などと共に、バーバリーはロイヤル・ワラント(英国王室御用達)として、英国を代表するブランドとなっている。また、アムンゼンスコットなどの極地探検家や高名な登山家、飛行家などに愛用され名をはせた。
日本には第1次世界大戦の頃から輸入され、早くから高い認知度を持っていた。日本での本格的な普及は、1965年に三陽商会が輸入販売を開始、様々な商品のライセンス生産を展開したことによる。このため、バーバリーの名を冠するが、三陽商会の手による比較的安価な「日本オリジナル」商品も多数生まれた。両社は半世紀にわたり関係が続いたが、2015年で契約打ち切りとなる。英国本社は現在グローバル戦略としてラグジュアリー路線を掲げ、各国で直営展開への転換を図っている。本社が企画した高級な商品に統一することでブランド価値を底上げし、市場での優位性を獲得することが狙いと見られている。欧州ブランドでは、日本の代理店による流通網を足掛かりに市場に浸透し、その後自社製品販売に注力する直営方式に切り替えて売り上げ拡大を図ることが少なくない。こうした、自動車のメルセデスベンツやチョコレートのゴディバなどの手法にバーバリーも倣ったものと考えられる。なお、三陽商会は他に多数のブランドを擁してはいるものの同ブランドが占めてきた割合は大きく、百貨店の売り場などでどのような展開をしていくのか、今後の行方が注目されている。

(金谷俊秀 ライター/2015年)

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改訂新版 世界大百科事典 「バーバリー」の意味・わかりやすい解説

バーバリー
Burberry

イギリス,ロンドンに本拠をおくバーバリー社の登録商標であるが,一般には綾織の綿ギャバジンに特殊な防水加工を施した生地を指す。バーバリーT.Burberryによって1835年に創業されたイギリスのバーバリー社が,防寒防雨のためにつくりだした。またこの生地でつくったレインコートトレンチコートを指すこともある。毛羽立ちを防ぐためのガスコーマ糸を使用しているため,普段は通気性に富むが,湿気を含むと織り目がふさがり水をとおさない。
執筆者:

バーバリー
Barbary

北アフリカのマグリブ地方の別名。この呼称は,この地方の原住民ベルベルに由来する。16世紀に大部分がオスマン帝国の勢力圏に入ったが,18世紀以降その勢力が衰えると,海賊がここを基地としておおいに力を振るった。1801-05年と15年にアメリカが海賊掃討の目的で,バーバリー戦争を行ったことがある。
ベルベル →マグリブ
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百科事典マイペディア 「バーバリー」の意味・わかりやすい解説

バーバリー

防水加工をした綿ギャバジン(ギャバジン),およびその布地によるレインコート。本来は英国のバーバリー社の商標であるが,一般にはこれに類似の防水加工布を称する。バーバリー社はこの布地で第1次大戦時トレンチコートをつくりだした。
→関連項目アクアスキュータムタイロッケン

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バーバリー」の意味・わかりやすい解説

バーバリー
Burberry

急角度の斜文線のある密織の綿ギャバジン。元来,イギリスのバーバリー社の登録商標名であるが,ギャバジンに防水加工を施したものまたはそれでつくったレインコートの通称になった。撥水性がよいので主としてレインコートに用いられる。

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世界大百科事典(旧版)内のバーバリーの言及

【マグリブ】より

…場合によっては,さらに西アフリカのモーリタニアと旧スペイン領サハラ(西サハラ)まで含めることもあるが,それは,この地域の住民の多くが,アラブ系のイスラム教徒で,歴史的にも狭義のマグリブと共有する部分が少なくないからである。また,かつて用いられたバルバリア(バーバリーBarbary)という呼称は,古代のギリシア人やローマ人が,その先住民をギリシア語やラテン語を話さないという意味で非文明的な異邦人を意味するバルバロス(複数形はバルバロイ),バルバルスと呼んだことに由来するが,これは広義のマグリブにほぼ一致する。 7世紀中ごろから,北西アフリカの征服を開始したアラブは,エジプトより西方,つまりリビア以西の地をマグリブと呼んだ。…

※「バーバリー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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