日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
バーデン(オーストリア)
ばーでん
Baden
Baden bei Wien
オーストリア北東部、ニーダーエスターライヒ州の都市。人口2万4502(2001)。ウィーンの森の東斜面がウィーン盆地へと移り変わる所にある温泉療養都市。15の泉源(硫黄(いおう)泉36℃)はすでにローマ時代より知られ、20世紀の二つの大戦間は観光保養の最盛期であった。第二次世界大戦後ソ連の占領期間に損傷を受けたが、現在も豊かな自然に囲まれた温泉と観光の町として栄えている。擬古典主義の建築物の保存がよく、オーストリア・ハンガリー帝国時代のおもかげが残されている。モーツァルト、ベートーベン、シュトラウス兄弟など多くの音楽家、文化人が訪れており、1803~34年にはオーストリアの皇室が夏の避暑地としていた。周囲にはブドウの産地が広がり、ワインの名産地でもある。
[前島郁雄]