バーゼル協定(読み)ばーぜるきょうてい(英語表記)Basel Agreement

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バーゼル協定」の意味・わかりやすい解説

バーゼル協定
ばーぜるきょうてい
Basel Agreement

国際決済銀行BIS)に加盟している先進主要国の中央銀行が為替(かわせ)相場の安定化を図るために取り決めた金融援助協定。そのほとんどが対ポンド支援に向けられた。1961年3月のマルクの切上げを契機としてポンド売りが激化し、ポンド危機が発生した。そこでBISに加盟しているヨーロッパ八か国(のちにアメリカも参加)がポンド支援を打ち出し、自国に流入したポンドは中央銀行が保持し、金に変換しないことを約束した。これが第一次バーゼル協定である(バーゼルはBIS本部の所在地)。その後68年のポンド危機に際し、同年9月に主要12か国(日本を含む)により第二次バーゼル協定が結ばれ、BISを窓口として総額20億ドルの信用供与イギリスに対してなされた。さらに、73年の石油危機に端を発し、変動相場制下で下落を続けるポンドを安定させるために、77年2月に第三次バーゼル協定が結ばれ、総額30億ドルの信用供与が行われた。

[秋山憲治]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バーゼル協定」の意味・わかりやすい解説

バーゼル協定
バーゼルきょうてい
Basel Agreement

国際決済銀行 BIS加盟国が取決めた一連のポンド支援協定。最初の協定は 1961年3月に締結され,マルク,ギルダー平価切上げを契機に生じた為替市場の混乱のなかで,とりわけ投機の対象となったポンドが自国内に流入してきた場合,西欧8ヵ国中央銀行はこれを保持することなどポンド支援策を約した。本協定は引続き数次の発動をみたが,68年9月成立の新バーゼル協定 (日本を含む先進 12ヵ国) では,前年 11月のポンド切下げにより生じたポンド残高の取崩しを防ぐため,総額 20億ドルの対英借款の供与が取決められた。その後バーゼル協定は 73年9月に失効したが,76年にポンドに対する信認低下が再発し,77年2月イギリスが公的ポンド残高の一部を外貨建債務に切替える一方,その純減に対し先進諸国が総額 30億ドルの信用供与を行う「第3次バーゼル協定」として復活した。

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世界大百科事典(旧版)内のバーゼル協定の言及

【スワップ協定】より

…使用した通貨は原則として3ヵ月後に元に戻すという契約だが,1回程度は更新できるとされている。スワップ協定の典型例としては,1964年のポンド支援の総額30億ドルの〈バーゼル協定〉があるが,73年に変動相場制になってからも拡大され,EMS(ヨーロッパ通貨制度)の基盤となった。これ以外に特記すべき例としては,77年11月のカーター大統領のドル防衛措置の一環としてのスワップ枠の巨額な増額,79年5月の日本銀行が円安対策としてニューヨーク連銀以外の西ドイツの連邦銀行およびスイスの中央銀行ともスワップ取決めを拡大した例がある。…

【BIS】より

…その代表的な例は1960年代から70年代にかけての再三にわたるイギリスのポンド危機に際しての支援措置である。これはバーゼル協定Basel agreementと呼ばれ,主要国中央銀行とBISがイングランド銀行に対してスワップ取決めにより資金供与を行うものである。第1次は66年6月から68年9月までで,信用供与額は10億ドル,9ヵ国(オーストリア,ベルギー,カナダ,西ドイツ,イタリア,日本,オランダ,スウェーデン,スイス)の中央銀行およびBISが参加した。…

※「バーゼル協定」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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