バンビル(英語表記)Théodore de Banville

精選版 日本国語大辞典 「バンビル」の意味・読み・例文・類語

バンビル

(Théodore de Banville テオドール=ド━) フランス詩人押韻を自在に駆使し、造型的な美しさを追求する詩を書いた。のち、高踏派に参加。詩集「人像柱」「綱渡りオード」など。(一八二三‐九一

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改訂新版 世界大百科事典 「バンビル」の意味・わかりやすい解説

バンビル
Théodore de Banville
生没年:1823-91

フランスの詩人。ゴーティエに傾倒し,美の実現を形式の完璧性に求めた彼は,ギリシアの彫刻美に霊感を得た処女詩集《人像柱》(1842),さらに18世紀絵画にも影響された《鍾乳石》(1846)により成功を収めたが,《綱渡りのオードOdes funambulesques》(1857)では〈韻文アクロバット〉ともいうべき彼の手腕のさえがみごとに発揮されて作詩技術の達人としての名声をほしいままにしサント・ブーブ,ボードレールらの賞賛を得た。彼は高踏派技巧面での師匠としてベルレーヌ,マラルメら次代の詩人の自己形成期に鮮烈な影響を与えた。彼の詩法は後に《フランス詩法小論Petit traité de poésie française》(1872)にまとめられるが,バラード,ロンデル等の古詩形や民謡の見直しなどフランス詩の資源を広く再発掘した功績も認められねばならない。彼はまた多くの韻文喜劇,散文劇を創作したが,なかんずく《グランゴアール》(1866)は特に大成功を博した。また才智あふれる《わが回想録》(1882)や死後に出版された《評論集》(1917)に文芸評論家としての一面を見ることができる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バンビル」の意味・わかりやすい解説

バンビル
Banville, (Étienne-Claude-Jean-Baptiste) Théodore (-Faullain) de

[生]1823.3.14. アリエ,ムーラン
[没]1891.3.13. パリ
フランスの詩人,劇作家。ノルマン系貴族の家に生れ,パリ大学法学部を中退後,処女詩集『人像柱』 Les Cariatides (1842) で好評を得た。『鍾乳石』 Les Stalactites (46) 発表後,各種の新聞に劇評や風刺文を書き,盛んにブルジョア階級を攻撃。『杯の血』 Le Sang de la coupe (57) ,次いで『奇怪なオード』 Odes funambulesques (57) によって,高踏派詩人としての名声を確立した。ほかに『亡命者たち』 Les Exilés (67) などの詩集,『グランゴアール』 Gringoire (66) などの戯曲,『わが回想』 Mes Souvenirs (82) ,『フランス詩小論』 Petit traité de poésie française (72) がある。

バンビル
Bainville, Jacques

[生]1879.2.9. バンセンヌ
[没]1936.2.9. パリ
フランスの歴史家,評論家。モーラスの影響のもとに王党主義の運動アクシオン・フランセーズ」に参加,外交,政治の論客として活躍。対ドイツ関係に鋭い洞察力を示し,富国強兵を説いた。主著『フランス史』 Histoire de France (1924) ,『ナポレオン』 Napoléon (31) 。アカデミー・フランセーズ会員 (35) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バンビル」の意味・わかりやすい解説

バンビル
ばんびる
Théodore de Banville
(1823―1891)

フランスの詩人、劇作家。ムーランに生まれる。高踏派の先駆者の1人。『人像柱』(1842)、『鍾乳石(しょうにゅうせき)』(1846)以来、完全押韻を中心とする詩形式の完成に専心、また多様な詩型を試みるなど、内容よりも技巧に秀でた作品を書く。代表的詩集に『叙情小曲』(1856)、『綱渡りのオード』Odes funambulesques(1857)、『流謫(るたく)者』(1867)など。1872年詩法の研究をまとめ『フランス詩小論』を著す。劇作は、町の理髪師が王から詩人(押韻家)の才を認められ美しい娘の愛を得る『グランゴアール』Gringoire(1866)のほか数編を残している。童話集もある。

[遠山博雄]

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百科事典マイペディア 「バンビル」の意味・わかりやすい解説

バンビル

フランスの詩人。形式の完璧(かんぺき)さと幻想の美しさを特徴とし,ロマン派(ロマン主義)と高踏派の中間に位置した。詩集《人像柱》《鍾乳石》《綱渡りのオード》のほか,戯曲,回想録などがある。

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