バンクロフト糸状虫(読み)バンクロフトシジョウチュウ

デジタル大辞泉 「バンクロフト糸状虫」の意味・読み・例文・類語

バンクロフト‐しじょうちゅう〔‐シジヤウチユウ〕【バンクロフト糸状虫】

糸状虫一種。体は糸状で、体長は雄が2~5センチ、雌が7~10センチ。人間のリンパ管に寄生し、象皮病陰嚢水腫いんのうすいしゅ原因となる。幼虫ミクロフィラリアとよばれ、夜間に末梢血液中に現れる習性をもち、中間宿主アカイエカなどに刺されたときに感染する。名は英国の内科医バンクロフト(Joseph Bancroft)にちなむ。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バンクロフト糸状虫」の意味・わかりやすい解説

バンクロフト糸状虫
バンクロフトしじょうちゅう
Wuchereria bancrofti

糸状虫類の一種で,広く熱帯亜熱帯の海岸地帯に分布し,日本では沖縄や九州南部にみられる。イギリスの医師 J.バンクロフト (1836~94) が記載した。雌虫は7~10cm,雄虫は2~5cm。雌虫は卵胎生で,その子宮内に薄い卵膜で包まれた幼虫が入っていて,生れるとき,この卵膜が幼虫の体形に伸びて鞘になる。この被鞘幼虫をミクロフィラリアと呼ぶ。リンパ流を経て血流中に入ったミクロフィラリアは,中間宿主であるカに吸血されたときカの体内に侵入し,発育脱皮を繰返して成熟幼虫となる。この感染幼虫を保有するカがヒトを刺すと人体に入り,リンパ管で発育して成虫となり,リンパ管およびリンパ節内に寄生する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バンクロフト糸状虫」の意味・わかりやすい解説

バンクロフト糸状虫
ばんくろふとしじょうちゅう

糸状虫

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