バルハラ(英語表記)Valhöll

デジタル大辞泉 「バルハラ」の意味・読み・例文・類語

バルハラ(Valhalla)

北欧神話で、最高神オーディン宮殿。勇敢に戦って死んだ戦士たちが迎え入れられるという。ワルハラ

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改訂新版 世界大百科事典 「バルハラ」の意味・わかりやすい解説

バルハラ
Valhöll

北欧神話の主神オーディンが,アースガルズに所有する館の名で〈戦死者の館〉を意味する。エッダの〈グリームニルの歌〉によると,黄金に輝くバルハラは〈喜びの世界〉グラズヘイムに立ち,垂木(たるき)には槍が使われ,屋根は盾でふかれ,ベンチのまわりには鎧が所狭しと置かれている。その門バルグリンドは狼と鷲で飾られている。540の扉があって,世界の終末(ラグナレク)の戦いには,一つの扉から一度に800名の軍勢が打って出る。バルハラの主人オーディンの命により,バルキューレワルキューレ)たちは戦場で勇ましく戦死した戦士たちをここに集め,世界の終末に押し寄せてくる巨人族に備える。エインヘルヤルと呼ばれるこれら戦士たちは,日ごと武事に励み,夕べには牡豚の料理と蜜酒の宴会を楽しむ。オーディンは王座に就き狼のゲリフレキをはべらせ,世界中の情報を得るため鴉(からす)のフギンムニンを放つ。バルハラに対する信仰はバイキング時代に由来するといわれている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バルハラ」の意味・わかりやすい解説

バルハラ
Valhöll

北欧神話の主神オーディンの住む館の名。「よろこびの家」とも呼ばれる。 540の門があり,各門とも 800人の騎士が並んで入れる幅をもつ。天井は目も届かないほど高く金色の楯を並べたように輝いている。ここでは毎日,宴会が催され,食べきれないほどの料理や蜜酒が出る。オーディンは毎日,殺されてもすぐ生返るという大いのししのセスルムニルを料理し,またバルハラの上におおいかぶさっているイグドラシルの梢にいるヘイズルンという雌やぎが無限に出す蜜酒を出してもてなす。しかし,オーディン自身はぶどう酒しか飲まず,他の食物はその足元にいる2匹のおおかみにやってしまう。バルハラには,戦いの乙女ワルキュルヤによって勇士が連れてこられ,世界の終りが来るまで,毎日オーディンや他の神々とともに,ごちそうを食べたり武芸をして過す。なお,病気や老年で死んだ人間は,バルハラには迎えられず,霧に包まれた地下界に行ってしまう。

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百科事典マイペディア 「バルハラ」の意味・わかりやすい解説

バルハラ

北欧神話のオーディン居所。ワルハラ,バルホルとも。〈戦死者の広間〉の意。広壮な館で,戦場で倒れた勇士(エインヘルヤル)がオーディンの命でワルキューレに運ばれて住む一種楽園イグドラシル樹上にあると考えられ,540の扉があり,屋根はきらびやかな楯でふかれ,ベンチは鎧でおおわれているという。

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