日本大百科全書(ニッポニカ) 「バルデマー(1世)」の意味・わかりやすい解説
バルデマー(1世)
ばるでまー
Valdemar Ⅰ
(1131―1182)
デンマーク王(在位1157~82)。1147年シュレスウィヒ公となり、57年対立国王であったスベンを破り、26年間に及ぶ内戦を終わらせ、単独統治を開始した。内戦期のデンマーク沿岸地帯を荒廃させたウェンド人に対しては、要衝に築城すると同時に、ザクセンのハインリヒ獅子(しし)公とも同盟、積極的に攻撃を行い、リューゲン島を占領し、デンマークからウェンド人の脅威を取り除いた。国内政策では、幼少時の養育先であったビーゼ家の協力を得て、王権の伸張、教会との提携に力を注いだ。彼の治下、バルト海交易の隆盛によって商業地の繁栄と農業の進歩がみられ、王の収入の飛躍的増大をもたらし、王権伸張を可能にする要因となった。
[牧野正憲]