バリー(Antoine Louis Barye)(読み)ばりー(英語表記)Antoine Louis Barye

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

バリー(Antoine Louis Barye)
ばりー
Antoine Louis Barye
(1796―1875)

フランスの彫刻家。パリに生まれ、同地に没。金工家の父と彫刻家ボジオに師事し、のちグロに絵画を学ぶ。ローマ賞受賞に失敗後は動物彫刻に専念し、1831年サロン出品の『鰐(わに)を襲う虎(とら)』、33年の『蛇を押しつぶすライオン』(ともにルーブル美術館)によって、ロマン派からの賞賛とともに、アカデミックな彫刻家からの反感をも得ている。このため37年のサロンに落選、以後48年まで不出品。のち、彼はルーブルの鋳造品販売部長、自然博物館の素描講師、万国博覧会の審査員などに任じられた。動物の激しい動きと生命力の把握は、ロマン主義の典型的な側面であり、また近代彫刻への第一歩でもあった。ルーブルのドノン門およびリシュリュー門の群像彫刻も彼の手になる。

中山公男

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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