バッファー・プレーヤー(読み)ばっふぁーぷれーやー(英語表記)buffer‐player

知恵蔵 「バッファー・プレーヤー」の解説

バッファー・プレーヤー

基本的に自民党政権を望んでいるが、政局は与野党伯仲がよいと考えて投票行動を行う有権者。自民党体制が長く続き、自民党が政権担当能力イメージを独占していた状況の中で生まれた日本独特の投票行動。彼らは政治の混乱によって自分の生活が脅かされるのを好まないが、自民党が力を持ち過ぎ、傲慢だと感じると、牽制のため自民党から離反する。バッファー・プレーヤーは都市部の高学歴の中年男性に多い。近年民主党が政権担当能力イメージを高めてきたので、自民党の代替勢力として認識され、かつては政権交代を恐れた有権者も容易に民主党に投票するようになった。「自民党政権を望む」というバッファー・プレーヤーの定義からすれば、これはバッファー・プレーヤーの減少を意味するが、権力を牽制したいと強く願う有権者という意味での「牽制的有権者」が減少したわけではない。牽制的有権者が、有用な選択肢の登場によって行動を変えたものと理解し得るのである。権力を牽制しようとする志向は、今後も多数の有権者の行動を規定するものと思われる。ただ、2005年衆院選ではバッファー・プレーヤーの出動は見られなかった。

(蒲島郁夫 東京大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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