バッサーニ

百科事典マイペディア 「バッサーニ」の意味・わかりやすい解説

バッサーニ

イタリア作家ボローニャのユダヤ系の家庭に生れるが,のち地方都市のフェラーラ移住ボローニャ大学卒業。第2次世界大戦のさなか,1943年に反ファシズム活動をしたとして投獄され,さらにユダヤ人として迫害を受けた。作風はファシズム期の暗い体験に基づくもので,物語の中心には常にフェラーラのユダヤ人共同体社会が描かれている。長編小説《フィンツィ・コンティーニ家の庭》はベストセラーとなり,デ・シーカ監督により映画化された。他の著作として《鷺(さぎ)》や短編集《フェラーラ物語》などがある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バッサーニ」の意味・わかりやすい解説

バッサーニ
Bassani, Giorgio

[生]1916.3.4. ボローニャ
[没]2000.4.13. ローマ
イタリアの小説家。ユダヤ系の家庭に生れ,フェララで成長した。ボローニャ大学文学専攻。第2次世界大戦中の 1943年春,反ファシズム活動のかどで逮捕され,イタリアが連合国との休戦協定に調印した後はナチス・ドイツの傀儡政権に対する抵抗運動に参加。第2次世界大戦が終ると,『ボッテーゲ・オスクーレ』 (1948~59) や『パラゴーネ』 (53創刊) 誌などの編集にたずさわるかたわら,故郷フェララを舞台にした小説で,ユダヤ人の悲しみと苦難の生活を,抒情的な文体で描いた。主著『五つのフェララ物語』 Cinque storie ferraresi (56) ,『フィンツィ・コンティーニ家の庭』 Il giardino dei Finzi-Contini (62) ,『扉のかげで』 Dietro la porta (64) ,『乾し草の匂い』L'odore del fieno (72) 。

バッサーニ
Bassani, Giovanni Battista

[生]1657. パドバ
[没]1716.10.11. ベルガモ
イタリアの作曲家。おそらくベネチアレグレンツィ師事。 1677年フェララのアカデミア・デラ・モルテのオルガニスト就任,のち楽長となる。 88年ベルガモ大聖堂の楽長。オペラ 11,オラトリオ 12のほか,多数の器楽曲と宗教曲がある。

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改訂新版 世界大百科事典 「バッサーニ」の意味・わかりやすい解説

バッサーニ
Giorgio Bassani
生没年:1916-2000

イタリアの作家。ボローニャのユダヤ系家庭に生まれたが,まもなくフェラーラに移住し,青年期までをこの地で過ごした。反ファシズム活動により投獄され,さらにユダヤ人として迫害されたため,1943年にはローマへ逃れた。二重の意味で弾圧されたファシズム期の暗い体験が彼の文学の基調を決定づけ,物語の核にはつねにフェラーラのユダヤ人共同体社会が埋め込まれている。代表作に短編小説集《フェラーラ物語》(1960),長編小説《フィンツィ・コンティーニ家の庭》(1962。V. デ・シーカによる映画化(1970)。邦題《悲しみの青春》),《鷺》(1968)などがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バッサーニ」の意味・わかりやすい解説

バッサーニ
ばっさーに
Giorgio Bassani
(1916―2000)

イタリアの作家。ボローニャ生まれ。ファシズム期には反政府活動により投獄され、ユダヤ人としても迫害を受けた。二重の意味で弾圧されたこの暗く重い体験が彼の文学の特異な色調を決定づけており、作品の基盤には、幼年期から青年期までを過ごしたフェッラーラのブルジョア・ユダヤ人共同体がつねに据えられている。短編集『フェッラーラの五つの物語』(1956)、長編小説『フィンツィ‐コンティーニ家の庭』(1962)、『鷺(さぎ)』(1968)などが主要作品であるが、詩集『ガラス窓の夜明け』(1963)、評論集『用意された言葉』(1966)、『心の向こうに』(1984)なども、彼の文学活動の重要な支柱である。ただし、文学的責務に欠ける作品としてE・ビットリーニが断罪したG・トマージ・ディ・ランペドゥーザの長編小説『山猫』(1958)を、バッサーニが絶賛して世に送り出した事件は、彼の文学を評価するうえで、一つの大きな尺度になるであろう。

[鷲平京子]

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