バチカン

精選版 日本国語大辞典 「バチカン」の意味・読み・例文・類語

バチカン

(Vatican)
[一] イタリアの首都ローマ市北西方の丘にある世界最小の独立国。領内にはバチカン宮殿、サン‐ピエトロ大聖堂バチカン市国政庁などがあり、領外にはイタリア国内に点在する若干の建物・庭園などを所有している。ローマ教皇法王)を元首とし、枢機卿教皇庁関係者で構成される。ムッソリーニ政府と教皇庁とのラテラノ協約(コンコルダート)により、一九二九年独立国として成立。正式名バチカン市国。
[二] ローマ教皇庁の異称。

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デジタル大辞泉 「バチカン」の意味・読み・例文・類語

バチカン(Vatican)

イタリアのローマ市内に位置し、ローマ教皇元首とする世界最小の独立国。正称、バチカン市国。1929年、イタリアとのラテラノ条約によって成立。全カトリック教会総本山である教皇庁が所在。バチカン宮殿システィナ礼拝堂サンピエトロ大聖堂バチカン美術館などがあり、1984年、世界遺産文化遺産)に登録された。面積0.44平方キロメートル。人口618人(2018/教皇庁公式サイト)。
教皇庁の異称。

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百科事典マイペディア 「バチカン」の意味・わかりやすい解説

バチカン

◎正式名称−バチカン市国Vatican City State。◎面積−0.44km2。◎人口−約800人(2011)。◎住民−市国民は直接・間接に教皇庁に仕える者で,ほとんどがイタリア人。◎宗教−カトリック(国教)。◎言語−イタリア語,ラテン語(以上公用語)。◎通貨−ユーロEuro。◎元首−教皇,フランシスコFrancis(1936年生れ,2013年3月即位)。◎国務長官−ピエトロ・パロリンPietro Parolin。    *    *イタリア中央部,ローマ市の西部にある世界最小の国。全世界のカトリック教会の中心で12億の信者を抱える世界最大の宗教団体である教皇庁の所在地。教皇が元首で,市国民はすべて教皇庁に仕える。世界各国と大公使を交換している。バチカン宮殿サン・ピエトロ大聖堂など著名な建築物が多く,システィナ礼拝堂バチカン美術館,1200余の古写本をはじめ蔵書数90万に及ぶ図書館などがある。ローマ歴史地区,教皇領などは世界文化遺産に登録されている。 4世紀,コンスタンティヌス1世によりペテロの墓上に聖堂が建設された(サン・ピエトロ大聖堂の前身)。9世紀半ばイスラム教徒に攻略されたが,その後周囲に城壁が建設され,1377年教皇グレゴリウス11世がアビニョン捕囚からローマに帰還して以後,教皇常住の地となった。15世紀以後カトリック教会の中心。1870年イタリア王国領となったが,1929年ラテラノ協定によりバチカン市国が誕生した。1984年イタリアとの間で新たな政教協約を結んだ。これによりカトリックはイタリアの国教でなくなるなど,新協約はイタリア社会における教会の地位の低下を示した。1978年に即位したポーランド出身のヨハネス・パウルス(ヨハネ・パウロ)2世は盛んに外国訪問を行い,活発な外交を進めた。2005年4月ヨハネス・パウルス2世が死去し,同月,ドイツ出身の,ベネディクトゥス(ベネディクト)16世が教皇に選出された。ベネディクトゥス16世はカソリック教会の内部改革に取り組んだが,2013年2月に退位を表明,716年ぶりとなる生前退位を選んだ。新教皇にアルゼンチン出身のフランシスコ1世が選出された。南米初の教皇である。フランシスコは,長く国交断絶状態にあった米国とキューバの和解に向け仲介役を果たすなど,平和の実現,差別撤廃や人権の尊重を訴え,積極的な法王外交を進めている。国連には非加盟。
→関連項目教皇教皇領ローマ(都市)ローマ・カトリック教会

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