バスク独立運動(西)(読み)ばすくどくりつうんどう

知恵蔵 「バスク独立運動(西)」の解説

バスク独立運動(西)

固有の言語と文化を持ち、重工業、金融の発達するスペイン北部のバスク地方では、スペインからの独立の願望が強い。この地方は1979年の自治憲章によって独自の徴税権や州警察などをもつ自治州となった。59年に結成され、完全分離を求めるテロ組織・バスク祖国と自由(ETA)の活動はよく知られている。2006年3月、完全分離を求めるETAは無期停戦を宣言、平和への期待がもたれている。05年1月、バスク自治州は事実上の独立を意味する自治強化案をスペイン政府に提出したが議会はこれを拒否、5月、ETAが停戦を受け入れた場合は和平に向けた対話を再開する方針を明らかにしていた。今回の停戦の背景には、サパテロ政権がETAと積極的に交渉したこと、スペインとフランス両警察の協力と一連のETAの大物逮捕が組織を弱体化させたことなどがある。しかし、98年には停戦宣言の後、和平交渉が決裂してテロが再開された経緯がある。

(渡邊啓貴 駐仏日本大使館公使 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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