日本大百科全書(ニッポニカ) 「バカン」の意味・わかりやすい解説
バカン
ばかん
Sir John Buchan
(1875―1940)
イギリスの政治家、著述家。スパイ冒険小説『三十九階段』で有名。出版社社長、従軍記者、情報部員と波瀾(はらん)に富む生活を送り、1927年にはスコットランドの議員、35年から亡くなるまでカナダ総督を務めた。1915年に著した『三十九階段』は、スパイ冒険小説の走りともいうべき作品で、彼の多彩な経験が生かされ、英雄的スパイ、リチャード・ハネーを創造した。スリルに満ちた筋立てを得意とし、作者自身はこれを「ショッカー」とよんで、同じ主人公の作品をその後もいくつか発表した。『三十九階段』は35年にアルフレッド・ヒッチコック監督で映画化(邦題『三十九夜』)されてヒットし、60年および78年にも再映画化された。
[梶 龍雄]
『小西宏訳『三十九階段』(創元推理文庫)』