ハーパーコリンズ(読み)はーぱーこりんず(英語表記)HarperCollins Publishers Inc.

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハーパーコリンズ」の意味・わかりやすい解説

ハーパーコリンズ
はーぱーこりんず
HarperCollins Publishers Inc.

アメリカの大手出版社。本社ニューヨーク。アメリカとカナダのほか、イギリス、オーストラリアを本拠に世界規模で英文図書出版事業を展開している。母体は1817年にジェームズとジョンのハーパー兄弟が創業した印刷会社で、1833年、ハーパー・アンド・ブラザーズHarper & Brothersとして出版業に乗り出した。E・アラン・ポー、W・アービング、サッカレー、ブロンテ(姉妹)、H・メルビル、ディケンズらの代表作を次々と刊行、19世紀なかばには世界最大級の出版社と目されるまでに成長した。

 1850年、文芸誌『ハーパーズ・マガジン』Harper's Magazine創刊。当初はイギリス文学の紹介が中心だったが、すぐにアルジャーマーク・トウェーンドライサー、H・ジェームズ、J・ロンドンなどアメリカ人作家も積極的に取り上げ始めた。1962年、教科書出版のロー・ピーターソンRow, Peterson & Co.と合併して、社名をハーパー・アンド・ローに改めた。なお、『ハーパーズ・マガジン』は1913年に売却され、80年以降はハーパーズ・マガジン・ファウンデーションという財団が発行を続けている。

 1987年、メディア王マードック率いるニューズ・コーポレーション買収され、90年に同じ傘下に入ったイギリスの老舗(しにせ)出版社ウィリアム・コリンズWilliam Collinsとの統合に伴い現社名に変更。99年7月には、メディア企業ハースト傘下の一般書出版社ウィリアム・モローならびにペーパーバック出版社エーボンを買収、ランダム・ハウスに次ぐ全米第2位の一般書出版グループとなった。出版ジャンルは文学、娯楽小説、ノンフィクション、ビジネス書、児童書、料理、宗教など多岐に及ぶ。1980年代以降のおもなベストセラー作家としては、J・アーチャー(『ケインアベル』1979)、B・T・ブラッドフォード(『女資産家』1979)、J・ハーバート(『魔界の家』1986)、S・シェルダン(『ゲームの達人』1982)、ナポレオン戦争時のイギリス軍人シャープ少佐の活躍を描く「シャープ・シリーズ」で知られるバーナード・コーンウェルなどがあげられる。2000年6月期の収入は10億3000万ドル(対前年度比35%増)、純利益は8900万ドル(同65%増)。

[星川正秋]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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