ハルマ和解(読み)ハルマわげ

精選版 日本国語大辞典 「ハルマ和解」の意味・読み・例文・類語

ハルマわげ【ハルマ和解】

オランダ人フランソワ=ハルマ(François Halma)が出版した蘭仏辞典をもとにして、江戸稲村三伯らが寛政八年(一七九六)に完訳刊行した、日本人による最初の蘭和辞書。約八万語を収める。「波留麻和解」とも。通称江戸ハルマ」「波留麻」。

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改訂新版 世界大百科事典 「ハルマ和解」の意味・わかりやすい解説

ハルマ和解 (ハルマわげ)

江戸時代に作られた日本最初の蘭和辞典。《法留麻和解》とも書かれる。江戸の大槻玄沢の門人稲村三伯フランソア・ハルマの蘭仏辞書を玄沢から借り受け,オランダ通詞出身の石井恒右衛門教示,同門の安岡玄真や岡田甫説の助力を得て作成した。1796年(寛政8)完成。集録語数8万語余。30部刊行。蘭学界に与えた影響は大きい。のちH.ドゥーフズーフ)の指導で作られた《ドゥーフ・ハルマ》を《長崎ハルマ》と称したのに対して,これは《江戸ハルマ》と称された。
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百科事典マイペディア 「ハルマ和解」の意味・わかりやすい解説

ハルマ和解【ハルマわげ】

波留麻和解と書き,《江戸ハルマ》とも。日本初の蘭和辞典。1796年江戸で刊行。オランダ人ハルマの蘭仏辞典の和訳で,訳者稲村三伯宇田川玄随ら。語数約8万。蘭学発展を促した。のち,H.ドゥーフの指導のもとで編まれた《ドゥーフ・ハルマ》をこれに対して《長崎ハルマ》といった。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「ハルマ和解」の解説

ハルマ和解
ハルマわげ

江戸後期,稲村三伯(さんぱく)らによって編纂された最初の蘭日辞典。13冊本と27冊本がある。1796年(寛政8)成稿,順次30部を刊行。題簽(だいせん)には「F. HALMA, NEDERDUITS WOORDENBOEK」とあり,和書名はない。門人藤林普山の著作の跋文に三伯自身が「波留麻和解」という名称を記す。後年「ドゥーフハルマ」を「長崎ハルマ」とよんだのに対し,「江戸ハルマ」ともよんだ。フランソア・ハルマの「蘭仏辞典」(1729第2版)が原典。見出し語は木活字で印刷,オランダ語の説明を訳した日本語は毛筆で縦書き。8万語といわれたが実数は6万余語。三伯が企画,もと通詞の石井恒右衛門を中心に宇田川玄随(げんずい)・岡田甫説・宇田川玄真が協力した。

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旺文社日本史事典 三訂版 「ハルマ和解」の解説

ハルマ和解
ハルマわげ

江戸後期に刊行された最初の蘭和辞書
1796年江戸で刊行。13冊本と27冊本の2種ある。オランダの書籍商ハルマの『蘭仏辞典』を稲村三伯が中心となりオランダ通詞石井恒右衛門らの協力を得て翻訳。語数約8万語。長崎でもオランダ商館長ズーフが同じ蘭仏辞典からさらに詳しい蘭和辞典を編纂したので,区別して前者を「江戸ハルマ」,後者を「ズーフハルマ」とも呼んでいる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハルマ和解」の意味・わかりやすい解説

ハルマ和解
はるまわげ

江戸ハルマ

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