ハルマッタン(読み)はるまったん(英語表記)harmattan

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハルマッタン」の意味・わかりやすい解説

ハルマッタン
はるまったん
harmattan

西アフリカで吹く、東ないし北東の乾燥した砂塵嵐(さじんあらし)。harmatan, harmetan, hermitanとも綴(つづ)る。11月後半から3月の中ごろまで吹く。それはサハラを吹く砂漠風として始まり、1月には北緯五度、7月には北緯18度付近にまで広がる。夏期にこの風は、その下層が海洋からの南西季節風で抑えられるが、上空では海のほうまで流れていき、その砂塵が海上の船で観測されることがある。また大西洋の海底にサハラからの砂塵の堆積(たいせき)物をつくる。

根本順吉

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハルマッタン」の意味・わかりやすい解説

ハルマッタン
harmattan

西アフリカギニア湾湾岸地方に吹く局地風。東ないし北東寄りの風で 11月から 2月までの乾季に多く現れる。その範囲はマデイラ島からゴールドコースト地方にまで及ぶ。内陸サハラ砂漠方面から吹いてくるために非常に乾燥しておリ,風塵を伴うことが多い。成因はアフリカ大陸上の亜熱帯高圧帯の南縁を吹く北東風であり,貿易風一種である。

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百科事典マイペディア 「ハルマッタン」の意味・わかりやすい解説

ハルマッタン

アフリカ西部,ギニア湾北岸からベルデ岬へかけての沿岸部に冬季に吹く北東の貿易風。乾熱風で,サハラ砂漠の風塵(ふうじん)を伴う。

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世界大百科事典内のハルマッタンの言及

【風】より

…また紅海に吹く南または南西の強風もハムシンという。 ハルマッタンharmattanアフリカの西部,ギニア湾北岸からベルデ岬へかけての沿岸部に,冬季(11月~3月)にサハラ砂漠から吹いてくる北東貿易風。乾燥した風で,風塵を伴うことが多い。…

【堆積作用】より

…また,気流によって長距離を運搬され,静穏時に重力によって沈降したり,雨や氷晶とともに地表に落下する。春先に日本でよくみられる黄砂や西アフリカでサハラ砂漠から南西へ吹くハルマッタンharmattanはよい例である。
[氷河の堆積作用]
 流動する氷河中に取り込まれて運搬された岩屑は氷がとけることにより,そこに残留する。…

※「ハルマッタン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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