日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ハルトマン(Karl Robert Eduard von Hartmann)
はるとまん
Karl Robert Eduard von Hartmann
(1842―1906)
ドイツの哲学者。プロイセン将校の家に生まれる。軍人となったが(1858)病気のために若くして哲学に転じ、『無意識の哲学』の出版(1869)によって一躍有名となった。時事、社会、宗教問題などについて多方面な文筆活動を行ったが、彼の哲学はドイツ思弁哲学の諸成果、すなわちヘーゲルの概念的理性とその自己止揚の思想、ショーペンハウアーの意志の観念、シェリングの無意識の理論を統合し、さらにそれを帰納的・自然科学的方法に基づいた近代科学の実証的知識と総合するという、壮大な形而上学(けいじじょうがく)的体系を目ざすものであった。
[伊東祐之 2015年3月19日]