日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハル(イギリス)」の意味・わかりやすい解説
ハル(イギリス)
はる
Kingston upon Hull
イギリス、イングランド北東部にあるユニタリー・オーソリティーUnitary Authority(一層制地方自治体)の都市。正称キングストン・アポン・ハル。人口24万3595(2001)。ロンドン、リバプールに次ぐイギリス第三の港湾都市。港はハンバー川の三角江の北岸、ハル川との合流点に位置する。ヨークシャー県やリンカーンシャー県の外港の役割を果たし、取扱い貨物量が多い。国内随一の遠洋漁業基地でもある。造船をはじめ食品加工、化学、製材、船舶修理などの工業が港周辺に立地する。12世紀後半シトー修道会が寺院領内産の羊毛の積出し港にこの地を選んだのが市の起源。さらに1293年エドワード1世が修道院から港を入手し、新しい町をつくってキングストン(キングス・タウン)とよんだのが地名の由来である。18世紀後半に港の拡張とともに発展した。14世紀のホーリー・トリニティ教会、旧港湾事務所であったドック博物館、奴隷解放論者W・ウィルバーフォースの生家、当地出身の先駆的女性飛行士エミー・ジョンソンの像などがある。
[久保田武]