ハヌマット(英語表記)Hanumat

改訂新版 世界大百科事典 「ハヌマット」の意味・わかりやすい解説

ハヌマット
Hanumat

ヒンドゥー教における神猿の名。〈ハヌマーンHanumān〉の名でも知られる。風神バーユと天女アンジャナーAñjanāの息子とみなされる。叙事詩ラーマーヤナ》の主要な登場人物であり,ラーマ王子を支援して,南海の都市ランカーの王であるラーバナと戦い,不死身の活躍をする。ラーマは,ラーバナに誘拐されたシーター妃を救うために,猿の軍勢とともにランカー市を攻撃する。その際,ハヌマットはシーターのようすを探るため,海を飛んでラーバナの宮殿に入ってシーターに会うが,捕らえられ,尾に火をつけられて街路を歩かされる。しかし,彼はかえってランカー市を燃やしてラーマのもとに帰還する。そのほかにも彼の怪力を示すエピソードは多い。たとえば,ラーマが戦場において失神したとき,彼はヒマラヤ山中へ飛び,薬草のある山を引き抜いて運んで来て,ラーマを蘇生させる。ハヌマットは《西遊記》の孫悟空のモデルであるという説もあるが,彼も広く民衆に愛され,崇拝され続けている。彼が曲芸師やレスラーの守護神であるということも興味深い。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のハヌマットの言及

【ユダヤ教】より

…律法の歓喜祭(同22日)――1年かかった律法の読了を祝う。ハヌカ祭(キスレウ月25日~テベト月2日)――前164年のエルサレム神殿奪回の記念。プリム祭(アダル月14~15日)――エステルがユダヤ人を救った伝承の記念。…

※「ハヌマット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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